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2007-12

一杯のかけ蕎麦

 「かけ蕎麦ください」

 

 「珍しいですね、

  いつもはもりなのに。」

 

 「寒いからね」

 

 「お酒?」

 

 「えぇ、燗してね、一合でいいです。

  そうだ、板わさもね。」

 

 「はい〜」

 

 

 行きつけの蕎麦屋で素っ気ないけど

 暖かくなるブランチを取る。

 

 でも・・

 いつもと違うのは、蕎麦が「かけ」だったという事。

 

 よく行く店なのに、

 いちどもかけそばを食べた事がなく、

 暖かい蕎麦は邪道だと思っても、今日は外へ出たりする可能性大なので、

 まずは勢いをつけたかった。

 

 〆張鶴を板ワサでやっつけているうちに出てくる「かけ」

 

 ど〜れどれ・・と啜ってみると、

 

 え?

 これ、美味いじゃん(^_^)

 

 蕎麦、伸びてないよ・・・

 

 

 いや、驚いた。

 新蕎麦で打っている蕎麦だから・・・というだけではなく、

 蕎麦の香りと柔らかい中にある蕎麦の腰があって、妙に美味いのだ。

 

 あ・・・

 これって、汁も美味いんだ。

 

 いつもは何か具が乗っていて、

 その具の味が優っていて気付かなかったのだが、

 何も具が無いと、出汁の旨味がよくわかる。

 

 蕎麦湯をもらって、かけ汁に足して飲んでみると、

 これがまた美味くって・・・

 

 ちゃんとした蕎麦屋で食べる「かけ」が

 こんなに美味いって、知らなかった・・・(^_^;)

 

 

 「今夜が勝負?」

 

 「そうですね。

  今日は蕎麦屋にとって戦争です。

  こんな早い時間はまだ全然だけど、

  夕方は店閉めて、蕎麦も生蕎麦だけ売るんですよ」

 

 「あ、そうだったけ?

  夜来なくて良かった〜」

 

 「年越し蕎麦、お持ちになります?」

 

 「あ、いや、今年も多分、

  何時になるかわからないし・・・」

 

 「あらあら」

 

 

 華美に飾る事が当たり前な時代に、

 何も飾らない物の良さを知る。

 

 それも大晦日に。

 

 変わるべき物は自然な形に変化していくが、

 本物は変わらずに、ただただ磨かれていく。

 

 そして磨かれたソレは、何にも揺るがない力を持って、

 誰にでもわかる魅力を持って、そのままでいるだろう。

 

 今年の自分は、

 自分らしく、自分に嘘をつかずに生きてきたろうか?

 

 一杯のかけそばを啜りながら、

 そんな事を考えていた午後、

 空は気持ち良く晴れていた。

欲張っても無理

 今やっている仕事は、

 経営者が望むデータを解りやすく提供し、

 その考え方や今後の経営方針について寄与するような

 資料を作成する事。

 

 これが簡単なようで、実はかなり難しい。

 

 例えば、全てのデータが一目瞭然に見える表が欲しいと言われても、

 実際にそんな表を作れば、データが多すぎて実は何も理解できない物に

 なってしまう事になりやすいからだ。

 

 え?

 優秀な経営者なら、そんな事は無い?

 

 えっと・・

 時系列で動く2つのデータを見る事は簡単だが、

 それが3つになると既に2つの視点が生まれる事になり、

 さらにもう一つ増えると6つに視点が増えるわけで・・・

 それをリアルタイムに処理できる人はそう多くないと言っていい。

 

 例えば会社で言えば、前年度比、予算費、収支、

 そしてそこに実際のキャッシュフローの数字を入れたりしたら、

 何の判断をその表からすれば良いのか解らなくなる・・という事だ。

 

 え?

 難しい?

 

 いや、簡単な話・・・

 

 運転している時、突然飛び出す歩行者と

 反対車線で強引に右折する車両がほぼ同時にいたとして、

 しかもその時、隣の車線を走る車が進路変更を同じタイミングで行ったら、

 それを全部見て判断して、上手く運転できる人はそう多くない・・と

 言いたいのだ。

 

 金の話も一緒だ。

 

 会社の経理は、幾ら収入があって、幾ら支出したか・・

 だけのシンプルな物。

 経営戦略に必要な物は予測であり、予測収入に対する予測費用を計算すれば、

 予測収支も簡単に見る事ができる。

 その予測に対する説明的データを増やしてもなぁ・・・(^_^;)

 と思っていたら、今日はそれ以前の問題として、

 売り上げに対する判断違いが経営陣と経理の間にある・・という事が、

 見えてしまって、その対応に悩んでいる。

 

 まぁ・・・ 

 最後は力業で納得を強いるしかないけど、

 早いところ、スッキリとした形にまとめ上げないと、

 予測すら立たないまま年度末を迎えてしまう事になる。

 

 

 ・・という事で、

 休みの間は、数字との格闘が避けられないよう・・・ですなぁ(/–)/

今日は静かだ

 静かに、数字と向かい合っている。

 

 まるでクロスワードパズルを解くように、

 数字の羅列から、今年度前半の会社の状況を理解していく。

 

 予測、傾向、

 そしてその対策を立てるための分析。

 

 そう・・・

 今日は頭がアラビア人。

 

 そしてたまに、

 頭を使わない作業。

 

 朝からそんな事をやっていて、

 街には人が殆どいなくて、

 でもそれは、いつもの週末と同じなんじゃないか?

 と思ったりもするが・・・

 

 

 夜が来た。

 

 

 ま、私の年の瀬なんて、

 そんな物です(/–)/

仕事納め

 「今年一年、お疲れさまでした!」

 

 「乾杯!」

 

 

 どうやら、世間一般的には、

 今日が仕事納めらしい。

 

 そうか・・

 そうだったね、今日は28日だ。

 

 でも、

 そんなの関係ない・・・

 という生活が長すぎて、ちっともそんな気分にならないのは

 もう毎年の事。

 

 そして今年も、

 堂々とオフィスでタダ酒喰らいつつ、仕事をしつつ・・・で

 仕事収めの式に参加した・・・と。

 

 

 でも自分、

 こういう皆で飲む・・というシチュエーション、

 嫌いです。

 

 なんか・・・苦手です。

 

 

 元々、集団の中にいると、

 何故か凄く孤独になる事が多いのと、

 仲良く振る舞う事が嫌いだったりするからだ・・と思うのだが、

 色々な事を気にしたりする事にも疲れてしまうらしい。

 

 取り敢えずこんな夜は、

 飲んだくれて脱走が良いでしょう・・・

 

 

 「おい、飲みに行くぞ」

 

 

 

 

 ・・・・はぁ・・・

 

 

 まぁ、

 お酒は楽しく飲みましょうね・・・っと(/–)/

ロングモーン1980

ファイネスト・アンド・レアレスト
 ロングモーン・グレンリベット1980 26年 52.6%
(キングスバリー)
 
 
続いてテイスティングを始めたロングモーン。
1980年のモルトでホッグスヘッドからのボトリングとあるが、
問題はシェリーカスクでは無い・・という事か。
 
同じように最初の一口を楽しんでみると・・・
 
 
うわ?
失敗????
 
と思う位、強いキックと有機溶剤のような刺激臭が強く、
しかもかなりピリピリとしたタッチがある。
 
はい・・・
放置です。
 
無理です、飲めません。
 
 
「どうですか?
 シェリーカスクじゃないと、大分違いますか?」
 
「そうだね。
 正直言えば、これがロングモーンだって、信じられないくらい」
 
 
バーテンダーを虐めているわけじゃない。
これが、ボトラーズのモルトの特徴であり、
熟成樽の違いが、その酒に与える影響が大きい証明でもあり、
そしてこれこそが、楽しみの1つもであるのだ。
 
 
「とりあえず、バルヴェニー25年でも出してよ」
 
「珍しいですね」
 
「うん、さっきのリベットがバーボンカスクだったので、
 バーボン繋がりで・・・」
 
 
サントリーから発売されたバルヴェニーは並行輸入品の価格とは
あまりにかけ離れていて(実に3倍以上のコスト)オーダーした時は、
その価格に卒倒しそうになった(爆)
 
ただ、1974年のオフィシャルはすでに終売品であり、
クオリティとバランスの秀逸さは今はどう頑張っても手に入らない物。
 
こうやって飲んでみると、決して高い買い物じゃなかったな・・と
思い知らされる。
 
 
45分を経過した頃、
ロングモーンが劇的に変化した。
 
強くいつまでも消えなかった刺激臭が姿を隠し、
焦げた砂糖のような香りと甘みがその代わりに出現する。
 
そして穏やかな舌触りの中に、かすかにロングモーンのような姿を見せ、
フルーツ系の爽やかなでしかし控えめな酸味も現れた。
 
あぁ・・・美味い(^_^)
 
だが、
この酒がロングモーンだって、
やっぱり解りにくい(爆)
 
でも、凄く美味い一杯ではあるから・・・
まぁいいか・・と自分を納得させたモルト馬鹿だった(/–)/

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