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2005-08

モルト受難

カウンターでウィスキーを楽しむカップルがいた。
 
彼女の方が飲む事が好きらしく,パートナーにカクテルの講釈をたれている。
彼もまた飲む事は好きなようだが,飲めれば楽しい・・という感じがする。
 
ただ,ごく普通のリタイヤ前のカップルと言う感じよりは,
少し女性の方が派手かな?・・・と思う感じで,
人生を二人で楽しんでいこうという雰囲気を持つ微笑ましい二人に見えた。
 
しかし・・・
カップルの前には初期の壁ができている。
 
バランタイン,CC,バーガンディ・ウッド,山崎・・・・・
 
 
好きだね,モルト(^_^)
 
勧められままに,色々と入れてしまった感じがする壁は,
このバーでの常連としてのパスポートにも見えた。
 
ただ・・・
彼は他人が何を入れているのか,すごく気になるらしい。
 
こちらの飲んでいる物が気になってか・・・
すごく注目を浴びていた。
 
彼女は,彼の持つ酒が多い事に,少しプライオリティを感じているようで,
盛んにバーテンダーと次に入れる酒の話をしているが,
どの酒がいくらで?・・・と大事にしているのがコストパフォーマンスである事は
何となく伝わってきてしまう。
 
年よりも若く見える彼女には,大胆で綺麗なドレスも装飾品も
彼の壁の長さも同じように見えているのかも知れない(^_^;)
 
で,バーテンダーは言われるがままに「響」や「山崎」のスペシャルエディッションの説明を
彼よりも彼女にむけてスピーチしている・・・・と。
 
酒は好きな時,好きな人と,好きな物を,好きなように飲むのが良い。
酒に合わない飲み方も時には大事だったりするから,
マイスタイルを持って気持ちよく飲んで欲しい。
 
自分があと10年して,あんなカップルで目の前に困った壁を並べつつ飲んでいられたら,
ちょっとだけ嬉しいな・・・・と思う。
 
いや・・・
別に羨ましかったわけじゃないよ。
 
ただ,人生のピークを越えつつある事に気付いているから,
後は長く,今の高さを保ちながら生き長らえたい・・・
というか楽しみたいって思っただけなんだけどね(^_^)

Re: 冒涜

「気になる飲み方されますね」
 
「やっぱりそう思う?」
 
「えぇ」
 
「じゃ,試していいよ」
 
 
アドベック・ベリーヤングのトニック割。
 
あのたき火の燃えかすのような風味は,
見事に甘さでマスクされて心地よさを演出する。
 
 
「へぇ,驚いた。
 面白いですね」
 
「うん,アイラの好きな人にとっては
 最初の一杯に良いでしょ?」
 
「意外ですね」
 
 
行きつけのバーで,食いついてきたバーテンダーに飲ませてみると,
こんな反応がそれぞれから返ってくる。
 
そっけなく辛く,個性が強すぎるくらいのモルトだと,
妙に美味しく感じる,という原則は,
ブレンデッドウィスキーはアイラを混ぜる事多いという現実と
繋がるものがあるよね(^_^;)
 
しかし・・・
何故か酔うんだよなぁ・・・

冒涜

「あのさ・・・モルトをトニックで割ってくれない?」
 
「トニック・・・ですか?」
 
「うん、ちょっと実験したくて」
 
 
サントリーがあの手この手でウィスキーを飲ます手段を提案しているが、
ウィスキーのトニック割りの提案にはちょっとばかり驚いた。
 
ウィスキーの甘みは楽しみの一つ。
 
それを真っ向から否定するような飲み方だから、
酔うための道具として考えている事を想像させられる。
 
でも、若者に受ける味わいだ・・という事は理解できるので
実験してみる事にしたわけだ(^_^;)
 
 
「何をベースにします?」
 
「からっとしたそっけないヤツ」
 
「う・・・・ん、じゃ、グラントは?」
 
「なるほど。
 そうしましょう。
 え?
 それっと何年?」
 
「25年」
 
「お・・・い。
 いくら何でも、そりゃ冒涜じゃん。」
 
「どうせなら、とことん・・・・」
 
 
という事で、グレングラント25年のトニック割りが登場した。
 
こんなもんがねぇ・・・
と思いつつ飲んでみると・・・・
 
あれ?
美味いじゃん、コレ。
 
蒸し暑い夜にビール代わりに飲むには、
ハイボールより飲みやすいかも知れない。
 
気が付くと、ほぼ一気飲み状態(^_^;)
 
で、二杯目にはベースをアイラにしてみた。
(カリラ(58.3%)+トニック)
 
すると・・・・
これがまた妙な面白さがあって、美味い。
 
スーっと入ってくる気持ちよさの中に、アイラの個性が見え隠れする。
そしてカスクストレングスが、しっかりと酔いをのせてくれるワケで・・・(^_^)
 
 
「意外に面白い。
 でも、モルトを楽しむ飲み方じゃない・・ねぇ」
 
「トニックだからある程度はしょうがないですね」
 
「でもこれ・・・酔うかも」
 
「炭酸って酔いを誘いますから。
 で、次はどうします?」
 
「マッカラン7年で。
 サントリーが売りたいモルトに、サントリーの提案する飲み方を」
 
 
・・・・・・・(^_^;)
 
これ、失敗。
マッカラン+トニックは、訳のわからない飲み方にしかならない(爆)
 
 
結論:冒涜に値する飲み方でも、素性の良さは美味さを演出できる。

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