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2005-04

ミルトンダフ1966

在庫があるから、無くならないうちに・・・と立て続けに入ってきたレアモルト。
 
ダグラスレインのプラチナセレクション
「ミルトンダフ36年(1966)41.7%」
がやってきた。
 
プラチナセレクションに外れ無し・・と解っているが、
来たらすぐテイスティングするのは当たり前。
 
という事で開けてみると・・・・
 
やっぱり爆睡中だった。
 
香りは殆ど立たず、味わいはスペイサイドらしい穏やかもの。
 
という事で、たっぷりとエアリングする事にして、
代わりにハートブラザースのマッカラン25年1971を空ける事にした。
 
名残惜しいがしかたない。
オールドマッカランらしい味わいを愛でながら、ミルトンダフを舐めていくと・・・
 
30分を過ぎたあたりから、甘い香りが立ちだした。
 
素直な甘さ。
仕込み水の中に含まれる色々な香りはあまり感じず、
ひたすら甘い香りが広がっていく。
 
味わいは・・・・穏やかにしかし奥行きのある甘さが広がっていく。
例えて言えばスミレの蜂蜜のような・・・・
 
古き良き時代のバランタインに通じる味わいが、
しっかり自己主張していて楽しい。
 
素直な甘さがマッカランとは全く違ったすっきりとした味わいを見せるのは、
樽がシェリーじゃない事の証明でもある。
 
そして1時間半も超えた頃、やっと花のような香りの姿を見せてくれたのだが・・・・
 
よくぞこんな古いモルトが、ある意味線の細い味わいを保ったまま、
生き残っていたな・・・・と感激してしまった。
 
あまりにストックの数が増えたので泣く泣く71マッカランを空けたが、
そろそろ自分の持っている酒が何だかわからなくなりそうだ(^_^;)
 

バリンダロッホ

プルトニーの代わりに先に届いたボトルは、キングスバリーの
ケルティックコレクションだった。
(一晩で二本入れる羽目になるのは計算外だったが(^_^;))
 
 
「あの・・・・ファークラスのはずなんですけど、
 ファークラスとは書いてないんです。」
 
「もしかして昔の名前で出ています・・・状態??」
 
「なんて読むんでしょう?」
 
「バリンダロッホ」
 
「業者からはファークラスという事で入れたのですが」
 
「バリンダロッホってお城の名前なんだよ。
 そこの城で飲む酒ってノリで出されるモルトにはこの名前が付くんだけど、
 困った事がある。」
 
「?」
 
「城の持ち主はあのグラント」
 
「グラントってウィスキーの?」
 
「そのはず。
 で、クラガンモアとグレンファークラスはそこから土地を借りていて、
 その関係からかバリンダロッホという名前でモルトを発売する事があるのさ」
 
「クラガンモアかも知れない・・と?」
 
「ディーラーは嘘は言わないからファークラスだと思うけど、
 同じ名前で中身がクラガンモアという酒もあるのさ」
 
 
こういった戯れ言は、酒飲みの遊びとしてバーではよく飛び交う会話だ。
 
(調べてみると、今回手にいれたモルトはグレンファークラスを
 クラガンモアのシェリー樽で熟成された・・・という情報があった)
 
クラガンモアも好きな酒だし、ファークラスはサッチャーが愛したモルトで
力強くかつフィニッシュの長いこれまた大好きな酒。
 
どっちでもOKの気分で口開けをしてみると・・・
 
 
スパイシーと言うほど強くはないが、
ちょっと変わった刺激を伴う香りがまず現れた。
 
 
「ファークラスだね、このクセ」
 
「そうですか(^_^)」
 
「ちょっと個性があって面白いよ」
 
 
この香りを、ネットで書かれている情報ではコーヒーのような・・と表現しているが、
コーヒーと言うより鼻に引っかかる焦げたカラメルのような甘みを伴うクセ・・
と言った方が良い独特な香りだ。
 
 
バリンダロッホ35年 1967 54.1% (キングスバリー)
 
 
日本への割り当ては180本と言われているこの一本を、
こいつも当たり前のようにテイスティングしている馬鹿道まっしぐらの私だが、
記憶こそが財産だと思っているから惜しい気持ちはさらさら無い。
 
骨太な一杯をこれまたじっくりと時間をかけて味わっていくと、
1時間を超えたあたりから劇的な変化を見せてきた。
 
ジャンヌダルクが鎧を脱いだら、
すっげー優しい女だった・・・みたいな変化だ(なんじゃそりゃ(^_^;))
 
シェリー樽らしい甘さが、スパイシーな香りを包んで隠してしまったかの如く、
甘さの中にコクを加えたフィニッシュの長い酒としか感じられない。
 
美味いぞ・・・コイツ(^_^)
 
このバリンダロッホには、1968のマッカラン34年を物差しとして
一緒に飲みながら比べてみたが、
どちらも恐ろしいほど底力を十二分に表現して隠さない。
 
心地よい酔いに浸りながら過ごす至福の時間。
目の前に並ぶ60年代モルトの壁を見つめながら、思わずつぶやいた。
 
「こんな事してるから馬鹿になっちゃうんだよなぁ・・・(^_^;)」

ロングモーン1973

「第2弾、来ました」
 
「早いね」
 
「無くなりそう・・・という話があったので、
 押さえちゃいました。」
 
「ありがとう。
 じゃ、早速・・・・」
 
 
ここのところ、ボトラーズから70年代のモルトが多く
リリースされているらしい。
 
今回の調査リストにはそんなモルトが複数あって、有ったら欲しい・・・
というオーダーには確実に応えられると、購買部から返事はあったのだが、
それにしてもどこにあったんだ?と言いたくなるほどレアな物が揃いそうな気配がしている。
 
 
ロングモーン30年(1973)60.1% キングスバリー社製
 
 
「実はこのボトル、凄くレアなんですよ」
 
「モルトが?」
 
「それもそうなんですけど・・・・」
 
 
そう言ってバーテンダーがラベルを指さした。
 
この手のボトルは、何本生産したかを示す数字が印刷されたり手書きで入っている事が多く、
その総生産数で樽何本分なのかを想像したりできるのが面白いのだが、
このボトルに記載されている数字は、確かに珍しい状態であった。
 
 
「へぇ・・・・こんな事ってあるんだ」
 
「私も、初めて見ました」
 
 
ラベルには総生産数として202と手書きで書いてあるのだが、
そのうちの何本目か・・・という記載にも同じ数字が書いてある。
 
 
「202/202・・・・って」
 
「長年売っていますが、1番と末番は見た事がなかったんですよ」
 
「俺もだ」
 
「なんか、これだけでも嬉しくなっちゃうね。
 味にはあまりかわりない・・と思うけど」
 
 
こんな事でもちょっと楽しくなるのが、馬鹿ならでは。
 
でも、このモルトはそんな事なんてどうでも良い程の個性を持っていた。
 
 
色は恐ろしく濃い。
 
シェリー樽での熟成とあるが、色付けたんじゃないの?
と疑いたくなるほどの濃さがある。
 
早速・・・と飲んでみる。
 
口開けは、香りも何もしないような熟睡中のモルトであったが
味は最初から想像以上にしっかりとしていた。
 
60.1%というアルコール濃度が、その個性を強く押し出しているのがよくわかる。
 
時間をかけてその変化を味わうと、15分くらいから生ゴムのような香りが立ちはじめ、
その中にシェリー樽らしい甘さがどんどん厚くなっていく感じで変化を続ける。
 
ロングモーンというモルトは、知名度の低さから人気があまり無いモルトだが、
長期熟成に耐えるロングモーンはスタンダードのマッカランなんて及びもつかない美味さだと思っている。
 
それを裏付けるようにこのモルトはマッカラン顔負けの味わいを見せた。
 
2週間前に入れた1976マッカランを物差しとして並べながら楽しんでみると、
ロングモーンの方が明らかに複雑かつ豊かなモルトである事がわかった。
 
マッカランはあくまでマッカラン。
ロングモーンは、ブラインドで出されて「オールドマッカラン」と言われたら
そうかも知れない・・と思うくらい似ていながら、
その中にバニラの香りと極薄く柑橘系の香りを持ちつつ、
甘さは明らかにマッカランとは違う質の物を主張している。
 
そして・・・・
ロングモーンの方が、美味しいと思えてしまう。
 
市販価格で見ると5000~7000円ほどの差があるこの2本、
レアさを大事にするならマッカランだが、味が大事と思う人ならロングモーンだと思った。
 
勿論、1976マッカランが不味いわけじゃない。
絶対大事に飲もう・・と心に誓うほどの美味さだ。
 
 
しかし・・・・
 
たぶんこの波が最後のビッグウェーブだとは思うが、
自分自身が思いっきりお馬鹿だと感じるほど、
買いまくり状態に陥っている・・・(/–)/

ゴッセのマール

「その棚にあるのはマールだよね?」
 
「はい。
 ゴッセです。」
 
「この前モエのマールの口開けを飲んだら、すっげー美味かったのさ。」
 
「シャンパーニュのマールって良いですよね。
 私はこのゴッセが一番好きです。」
 
「そのマールを買う時、隣にあったのがゴッセで、
 どっちを買おうか悩んだ結果、俗っぽい方を選んで・・・・」
 
「でも、ゴッセも飲んでみたいわけですね?」
 
「ください」
 
 
久々に顔を出した店で、気になるマールを味わってみる。
 
葡萄の味と香りがストレートに爆発する味わい。
それでいて、下卑ていない品。
 
モエの口開けに比べたら香りは落ちるものの、
時間をかけて飲んでいると、どんどんふくよかな香りが広がっていく。
 
 
「個人的には、マールやグラッパ、カルバドスを増やしたいのですが、
 いかんせん人気がなくて・・・・」
 
「そうなんだ。
 じゃ、ポートワインなんかもダメ?」
 
「ポートは人気ないですね」
 
「シェリーは?」
 
「シェリーは出ますよ。」
 
「ティオペペ?」
 
「フィノもオロロソも出ます」
 
「女の口説き酒は出ても、男の口説き酒は出ないって事か・・・・」
 
「美味しいんですけどねぇ」
 
 
酒の楽しみの一つに「出会い」がある。
 
自分の知らない酒を試し、その素性から酔い心地まで記憶の中に記してゆく。
そしてそのバリエーションとして、自分に合った飲み方を探っていく・・・・
 
リキュールもスピリッツも自分流の楽しみ方を開発する事で、
オーソドックスな楽しみ方を遙かに超える味わいが楽しめる。
 
そしてそれは、バーテンダーとのやりとりの中から磨かれて、
いつの間にか自分のスタイルへと昇華していけるものだ。
 
 
「相変わらず頑張ってるよね」
 
「やっとこですよ」
 
「でも、良い酒そろってるじゃん」
 
「ほとんど趣味ですね。」
 
「あはは
 でも、そこそこのヤツもないと楽しめないじゃん」
 
「ウィスキーを飲む人も減りましたからねぇ」
 
「そうなんだ」
 
「甘くてソフトな物ばっかりが出ますよ」
 
 
趣味と呼ばれたボトル達は、所謂レアボトルと呼ばれるモルト達。
 
普段は見向きもされずに最上段に並べられたそのボトル達は、
お呼びがかかるまで静かに眠りについている。
 
その価値を知る者だけが見合ったコストでそれを楽しむだけ・・・・
という贅沢さも、バーならではのもの。
 
そして、バーはそれでいいんだ・・・・と、思う。
 
 
だってさ・・・・
 
そうじゃないと、
馬鹿が飲む酒が早く無くなっちゃうしね・・・(^_^;)

リオハのワイン

某カード会社から資料が送られてきたが、その中に何故かワインが一本入ってた。
 
 
「マルケス・デ・リスカル ティント・レゼルバ 2000」
 
スペインのワインはあまり飲まない。
と言うか、あまり知らない(^_^;)
 
で、そういった場合は飲んじゃうに限る・・・と、とっとと開けて飲んでみた。
 
ボディがしっかりとして、バニラに近い香りが混じるが、
嫌みな酸味や渋みが無い。
 
美味いじゃん・・・・(^_^;)
 
 
で、調べてみたら、フルボトルで1300~1800円位で売られていて、
ダリが愛した評価の高いワインである事を知る。
 
スペインのワインって美味いんだなぁ・・・
と感じていて
ふっと、昔、貴腐ワインブームがあった頃、
スペインから樽買いをして国産ワインに混ぜて売るメーカーが
少なからずあった・・・という風評を思い出した。
 
やっぱ、酒は飲んでナンボだね(^_^)
 
ブランドの代金として高すぎる金を支払う位だったら、
こういった酒を捜した方が楽しいかもしれないねぇ・・・・
 
と思いながらも、レアなモルトには惹かれてしまう馬鹿っぷり。
 
やっぱり病気なんだろうねぇ・・・(/–)/
 
酒は飲んでナンボだね。

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