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2005-04-03

70年代モルト

マッカラン・グレンリベット28年 1976(47.9%)
キングスバリー・ファイネスト&レアレスト
 
日本には47本しか入らなかったとジャパンインポートシステムの営業が言っていたが、
その少量入荷せいもあってかあっと言う間に売り切れてしまったとか。
 
そんな貴重なボトルが、目の前に出てくると・・・
ちょっとだけ感動したりする(^_^;)
 
 
「じゃ、飲んでみましょう」
 
「いきなりですか?」
 
「もちろん、飾るために買ったんじゃなし・・・」
 
 
当然でしょ。
すぐ飲むでしょ。
 
28年物だから、口開けだから、
どう考えても1時間以上のエアリングが必要だしね・・・・(^_^;)
 
 
最初は、
これはリフィルカスクか?と思うほどドライで、
舌にはビリビリとくるアルコールの強さだけが感じられ・・・
 
ま、そんなものよ。
起きるまでに時間がかかるのは先刻承知なんだしね・・(^_^;)
 
そして5分ごとになめてみると・・・
 
15分経ったあたりから、これはシェリー樽熟成だ・・とわかる香りが立ってきた。
 
30分を超えた辺りで比べる物が欲しくなってきたので、
ハードブラザースのマッカラン25年(1971)を出してみる。
 
あらあらあら・・・・
ハードブラザースのマッカラン25年の方が遙かに美味しいじゃん(^_^;)
 
もう瓶底で十分に瓶内熟成が進んだ一杯だからしかたないし、
76年と71年ではポットスチルの数も違う。
しかしなぁ・・・・・
 
と感じながら時間をかけてみると、
何だかどこかで飲んだ事のある味だ・・気付いた。
 
オールドマッカランにあるバターのようなオイリーさはあまり無いが、
ブランデーやカルバドスを思わせるフルーティーさがあって、
最近のレゼルバなのどに顕著な樽香はあまりない、スッキリとした美味さ。
 
それでいて、これが70年代のマッカランだったよな・・・と納得できる味わい。
 
強いて言うなら75年か76年のオフィシャル18年物に
よく似た味・・・・か。
 
 
どうやらこの一本、当分の間これからの大事な物差しになりそうだ。
 
まずは瓶内熟成を徐々に進めながら、ゆっくりとその変身を見守る事にしよう(^_^)

スプリングバンク

キングスバリーのケルティックシリーズは、厳選された樽をそのまま詰めたシリーズで、
そのどれもが外れの無い良心的なブランドだと認識している。
 
そんなシリーズの中で異色を放っているのが、
ジョン・マクドゥーガルセレクションだ。
(彼は1970~74までラフロイグ、1986~96までスプリングバンクのマネージャーを努め、
 現在はウィスキーの鑑定とライターとして活躍している。)
 
 
ケルティックシリーズの「スプリングバンク1991」彼のチョイスによる樽である事は有名だが、
その彼の名を冠したスプリングバンクがある事は知らなかった。
 
 
 
「久々に元町に来たので寄ってみたよ」
 
「お久しぶりです」
 
「相変わらずの繁盛だね」
 
「いえいえ、どうにかって感じです」
 
 
1年以上顔を出してなかったかもしれない「ラ・ストラーダ」は、
スタッフの顔ぶれが若干変わったものの、相変わらずの繁盛を見せていた。
http://www.wakao.info/photo/03/119.html
 
 
「仕事の打ち上げでビールを何杯か飲んだ後、日本酒をグラス一杯飲んだ後、
 どんな物を飲んだらいいかなぁ?」
 
 
相変わらずの意地悪な注文には、オールドタイプのジンのストレートで応えるマスターだが、
それを飲み終わるのを待って楽しそうに微笑んで見せる。
 
ん?
その表情はもしかして??
 
 
「何か企んでる?」
 
「どうしても飲んでもらいたい物がありまして」
 
 
そう言ってマスターが持って来たボトルは、
派手なサインがやけに目立つ一本だった。
 
 
「前にお勧めしたケルティックシリーズを覚えてますか?」
 
「もちろん」
 
「あのシリーズの中のスペシャルなのですが・・・」
 
 
スプリングバンク1991(59.7%)ジョン・マクドゥーガル・セレクション
 
 
キャンベルタウンモルトとして有名なスプリングバンクは、
潮っぽさがあってフルーティー、オイリーで香り高く複雑な味と紹介される事が多いが、
私としては香り高い甘く優しい、しっかりとした芯を感じる酒として認識している。
 
穏やか=際だつ特徴を見つけにくい・・という反応に応じたのかは解らないが、
ピートのみを使って麦芽を乾燥させてクセを持たせたスプリングバンクを
「ロング・ロウ」というセカンドブランドで発売している事もだいぶ周知されてきていて、
私自身も「ロング・ロウ」の方が飲み応えがあって好きなのだが・・・・
 
 
美味い!
 
甘さも強さも申し分なく、バーボン樽が醸すバニラ香にも似た香りと、
追いかけるように現れる酸味が柑橘系の味わいを添えて、
そしてあまり口腔内に貼り付かずに消えていく・・・・・
 
もうちょっとオイリーでエステル香があるともっと好きになれそう・・・
と贅沢な事を考えたりするが、なにせこの日は飲みっぱなし。
 
マトモな舌で居られるには、カスクストレングスはちょっとばかり厳しい(^_^;)
 
 
「美味しかったよ」
 
「実は彼がチョイスした普通のケルティックシリーズもあるんですが」
 
「飲み比べろ・・と?」
 
「本当は、お勧めしたいところでしたが」
 
「そうだね、今日はちょっと飲み過ぎ。
 今度は二つ並べて飲ませてね」
 
 
90年代前半のモルトは概して表面が良くて実は痩せていると感じていたが、
このスプリングバンクはなかなかの太さを見せてくれた。
 
捜せばこれからも楽しめるモルトがある・・・・という事を確認できたようで、
少しだけ明日への希望の入り口に近づいたような気がした夜だった(^_^)

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