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2010-01

幸せって何?

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幸せって何だろうね?
 
そう思うのは、いつもの事だ。
そしてそんな時、私は自分の位置を俯瞰してみる。
 
自分の生きてきた流れの中や、
今置かれている社会の中で
客観的に見てどうなんだ?・・・と。
 
で、それがあまり幸せな状況じゃないな・・と思えば、
悪かった時をフォーカスする事で
主観的に自分は幸せなんだと言い聞かせ、
納得させる事を試みる。
 
 
だってさ・・・
いつだって「幸せ」と思える時間は短くてさ、
日々変わっていく感覚を納得させられだけの幸せなんて
有り得なかった人生だったからさ。
 
いつしか
幸せを求める事を諦めちゃった・・・しさ。
 
きっと、
本当に幸せだって思えない人生なんだろうな・・・
って、どこかで認めちゃってるし・・・ね。
 
2730
  

「あのね、アタシね。
 結婚したいのよ。普通の結婚。」
 
「そうなんだ。
 すれば? 彼氏、いるんだよね?」
 
「うん、相変わらず続いてる。
 でもね、なんか最近つけ上がっててね、
 相手するのも嫌になっちゃったのよ。」
 
「何か気に障った?」
 
「よくわかんないんだけど、嫌なの。」
 
 
その日彼女は、友人が次々に結婚した事を報告しながら
自分も彼女達と同じように結婚したくなった・・と呟いた。
 
 
「お兄ちゃんがね、
 今の彼は捨てて、ちゃんと生活できるマトモな男を探せ・・・
 ってうるさいの。」
 
「おやおや、穏やかじゃないね。
 大きなお世話だよね。」
 
「でもね、電車とか乗ってる時ね、
 友達ができ婚する・・とか聞いちゃってるとね、
 何故自分だけ1人なんだろう・・とか、
 子供欲しいな・・・とか、
 親に申し訳無いな・・とか、思って涙出てきちゃうのね。」
 
「そう言えば俺も、ある時期、凄く子供が欲しい事があったな。」
 
「子供いるのよね?」
 
「あぁ、息子が2人。
 全然会えてないけどね。」
 
「娘さんはいないの?」
 
「いない。
 だからかな・・・、娘が欲しかったよ。」
 
「娘は大変よ?
 私みたいな娘だったらもう・・ねぇ・・
 性格悪いしさ。」
 
「Sだし?」
 
「Mにもなるけどね。」
 
 
2732
 
私から見れば、幸せに見える彼女。
 
でも、望む物が手に入らなかったり、
自分だけ取り残される環境に苛まれたり、
何故かクセの強いヤツばかりが寄ってきてウザかったり・・・
と、幸せには思えないようだ。
 
 
「あんまり彼氏を放置すると
 ヨソ行っちゃうぜ?」
 
「私はね、ちゃんとしてくれれば、
 外に女作ってもしょうがないって思える人なの。
 それって、私がしっかりしてないって証拠だし。」
 
「おいおい、随分古風な空気を醸すなぁ」
 
「あら、凄い古風よ? 私。
 ウチはお父さんが会社に行く時は家族全員でお見送りする家なのよ。」
 
「へぇ・・・・」
 
「何かね、戦争前の昭和?・・・いや、大正?、みたいな家なのよ」
 
「そら、付き合う男は、相当に甲斐性が無いと大変だな」
 
「そうなのよ。
 でも、 ちっともそういう男と出会えない・・・」
 
 
何かが上手くいきそうになっても、
いつも必ず完成を見ずに壊れる。
 
それが私の人生だ。
 
理想を高く持ってるつもりは無いし、
目標を下げる・・みたいなワザをつかってもいるのに、
やっぱり最後まで上手くいかない事が、常なのだ。
 
だから、ある時から望む事をやめてしまったが、
彼女はまだ、望む事をやめるには早すぎる。
 
 
「ねぇ、幸せって何?」
 
「俺が聞きたい」
 
「何だろうねぇ・・」
 
 
2731
 
自分が動きにくい身体になって、
気付く事がある。
 
それは、次の役目を担う時期がきた・・・
という事。
 
幸せに生きられない事も、
ひょっとしたらその役目の一部、なのかもしれない。
 
 
誰かが何かに悩んでいても、
ダメな例を山ほど持っている私には、
その答えを導ける事があったりする。
 
自分はいいから誰かの為に・・・と思う事は苦痛では無いし、
私自身を救ってくれる事にもなるから、
誰かの役に立てたり、短い時間でも幸せを感じてもらえる事を
大きな喜びとして捉えている。
 
 
「あたし帰るね。
 あのワイン、また飲みたいな」
 
「美味しかったね」
 
「どこのワイン?」
 
「ボルドーだよ」
 
「あの店じゃないと飲めない?」
 
「大丈夫、いつも行くバーでも飲めるよ」
 
「約束ね。」
 
「OK」
 
「今日は、電車で泣かないで帰ると思う。」
 
「潰れないでね」
 
「大丈夫、彼、呼んだし。」
 
 
なんだ・・・
やっぱり仲良いんじゃん(^_^;
 
 
「あたし大丈夫だよね?」
 
「大丈夫だよ。」
 
「まだ頑張れるよね?」
 
「頑張ってるじゃん。」
  
「ねぇ、幸せって何?」
 
 
ねぇ、ホント、
電車の中で潰れないでね・・・
 
 
 
 
 
 
2729

アドベック コリーヴレッカン

「随分前にオーダー頂きながら、
 入手にかなり時間がかかりまして申し訳ございません」
 
「いえいえ、私も忙しくて
 なかなか顔を出せなくて・・・」
 
 
2008年にコミッティ向けに出されたこの一本は、
ワイン樽を使用しているという情報がある。
 
その名のコリーヴレッカンはアイラ島の隣のジュラ島そばで発生する渦潮の名前で、
(日本だと鳴門の渦潮が有名だけどね)その引き込まれるイメージを
ラベルに表現したり、箱にはno swimming(遊泳禁止)と印刷され、
相変わらずの洒落が効いた装いで楽しませてくれる。
 
で、定番品として今回はリリースされたのだが、
私にとっては手に入らなかった一本なので、早く飲んでみたかった。
 
しかし昨年11月の時点では入手が難しく、私も忙しく・・・で
年を開けてやっとのご対面となった。
 
 
アルコール度数は57.1%
勿論チルフィルターは使ってないカスク物だ。
 
アードベックのカスク物は優しい口当たりの物が多く、
この一本も定番品となるからには、かなり優しいだろう・・と思ってしまう。
 
で・・・
飲んでみた。
 
 
 
え?
 
これで本当に57%もあるの???
 
 
という穏やかさ。
 
まぁ、最初は当然の如く寝込んでいるだろうから、
しょうがない・・・(^_^;
 
 
 
という事で時間をかけてみるが、
最近のモルト、それも定番品らしく大きな変化は見えてこない。
 
それでもボトルから放たれた、何でも引きずり込んでしまう魔性の大渦潮は
徐々にその本性を現してきた。
 
 
しっかりとした、らしいピートはアードベックらしさの1つだが、
それがどうだ・・とばかりに前面に出てくるわけではなく、
迫力があるバスドラムが出しゃばらずにビートを効かしているような形で存在する。
 
味わいは、甘さと苦み、そして若干の果実的酸味とスパイスが
まさに渦を巻いて1つの魅力になって、酔いの海の底に引きずり込むようだ。
 
 
「このボトルはテイスティングした?」
 
「いえ、まだです。
 ここでは初めて開けました。
 まだ、他のお客様でコレをオーダーした方はいらっしゃいません」
 
「じゃ、ちょっと持っていって、飲んでいいよ」
 
 
いつもの口開けの風景。
 
レアなモルトや新製品等を開けた時は、
サーブしてくれるバーテンダーには必ず振る舞う事にしていて、
こちらとしては酒のプロがどう感じるかを1つの楽しみにしていたりする。
 
 
一通りインプレッションのやり取りがあって、
かなり時間が経過したコリーヴレッカンは、
相変わらず魔性の渦を巻いたまま。
 
充分にステアされたような味わいに変化して
さらなる酔いに引きずり込まれそうになった。
 
あ・・・
この優しさと太さ、そしてフィニッシュの奥行きは・・・
昔のアードベックに似ているかも。
 
ここに、麦の主張と広がりが加わったら、
1976年以前の、あのアードベックの顔に
見えるかも知れない。
 
これは・・・
壁のリスト入り、決定ですな(^_^;

人のふり見て我がふり直せ

6606
 
大災害が起きた時、
本当に被害の酷い所からは情報が来ない、と、
行政の防災担当者が語っていた。
 
そう、今日はあの「阪神大震災」が起きた日。
 
あの震災が、その後の災害対策に対し、
有形無形の貢献を果たした事は、
あまりに大きすぎる不幸な中で唯一の救い・・・
と言っていいだろう。
 
行政の防災担当者も、
その時の教訓の中から災害対策方針を導いた。
 
その中に、
情報を出せないほど被害にあっている場所を如何に早く特定し、
的確な対策を施すか・・という考え方があった事も、聞いた。
 
 
仕事場で、スタッフを俯瞰していて思う事は、
その考え方に似ている・・という事。
 
問題なく動いている所からは特にレポートが上がらず、
問題のある場所からしか情報は飛んで来ないのが常。
 
で、立場が上がれば上がるほど、職場情報は危機情報ばかりとなり、
普通に当たり前に、しかし細やかな気配りや目に見えない努力によって回っている
優秀な職場の情報は疎くなってしまうのだ。
 
何でもないように見えて、確実にミスも無く無駄も出さずに仕事を進めている事が
実はどれだけ大変な事かは自分の仕事を省みてもわかる事なのだが、
危機情報に気を取られて、そんな部署やスタッフの事を
見過ごしてしまいがちな自分が恥ずかしくなる。
 
 
6607
 
 
今日は、他人の仕事だったが、
雑な仕事ぶりを見て、少し考え込んでいた。
 
何の問題も無く動いている・・と思われているだろうソレは
内包する大きな問題が透けて見える物、だったからだ。
 
管理する者が、他に気を取られていて明確に事態を把握していないのか、
そもそも管理する側に、問題を見抜く力や、問題意識が無いのかも知れない。
 
だが、「人の振り見て我が振り直せ」という言葉があるように、
自分自身のことを考えるキッカケには、なってくれた。
 
 
意識を常に高く持つ事。
 
常に進歩しようと努力し、
貪欲に勉強し、それを生かす事。
 
そんな気持ちを持ち続けるのは厳しいけど、
まだまだやれる事はたくさんあるのだから、
前へ進むしか・・・ないよね。

ブレイス・オブ・グレンリベット

レア・・な名前と言うべきか、
紛らわしい名前・・と言うべきか。
 
「ブレイス・オブ・グレンリベット1975」スピリット・オブ・スコットランドシリーズ
 
そう、かの有名グレンリベットは、その名前さえつけておけば売れる・・という事で、
その昔は、蒸留所の名前の後にちゃっかりグレンリベットと付けて モルトが売られていたようで、
スペイサイド=グレンリベットのようなイメージさえあったと聞く。
 
で、政府公認の元、本家がTHEを付けたリベットを発売する形になったのだが、
唯一その名残・・のようなモルトがこの「ブレイス・オブ・グレンリベット」。
 
シーバスの原酒の1つだが、シーグラムにしてみてもリベットと混同しやすいので
最近、ブレイヴァルに名称変更された。
 
で・・・
何故このモルトを仕入れるか・・と言えば、
シグナトリー社が出していた一本に出会ったからに他ならない。
 
既に閉めてしまったバーではあるが、
あまりモルト飲みが来ないロケーションで営業しているにも関わらず、
バックバーに当時(今も?)あまりに珍しいモルトが飾ってあったから
つい一杯頂いて、その魅力にハマってしまったわけだ。
 
しかしその後、自分で仕入れたハートブラザース社のソレは
あまりに素っ気なく軽い感じがありすぎて拍子抜けしたのだが、
それは80年代モルトにありがちな個性を持っていただけの事だった。
 
違う店で飲んだ70年代前半の物は、やっぱりスコッチらしい味わいを持ち、
魅力にあふれる余韻を持っていたからだ。
 
だから、モルトの仕入れリストにこの名前を見つけた時、
そして蒸留年が1975であり、ゴードン&マクファイル社のスピリット・オブ・スコットランドシリーズなら・・
とオーダーをする気になった。
 
 
長い前置きだった(^_^;
 
とにかく飲んでみる。
 
 
 
 
あぁ・・・
そうだよねぇ・・・・
 
この麦が発酵してらしさを消したような感じは、
懐かしい「スコッチ」と言われたウィスキー達がまとったコートのように
本性を決まった形で隠しているような顔だよね。
 
ダルウィニーにもある、例えて言えばデュワーズ・ホワイトラベルのような、
典型的スコッチのような味。
 
そして、モルトならではの、キリッとしたクセ。
 
さらに70年代モルトが持つ味の強さと奥行きのバランスの面白さ。
 
穏やかには飲ませないぜ?
と酒が言ってるような気さえするけど、この味、嫌いじゃない(^_^)
 
 
シーバスには「ストラスアイラ」や「グレングラント」が使われている事は有名だが、
「ベンリアック」や「グレンリベット」、「ロングモーン」「グレンキース」等々、
単品で飲みたいモルトが多数使われている。
そしてこの「ブレイス・オブ・グレンリベット」もその一員なワケで・・・
 
 
モルトは個性が無いとつまらない。
完璧なバランスと飲みやすさを求めるならブレンデッドで・・
と言いたげな味わいは、優しくて穏やかなオールドモルトとは別な魅力に溢れている。
 
ただ、奥行きの深さはあまり感じず、
舌の上のキックも最後まで消えはしなかった。
 
 
あ・・・
ひょっとしたらコレ、
加水したり、ハイボールにすると化けるかも・・・
 
 
え?
勿体ない??
 
だよねぇ・・・(^_^;

バリンダロッホ1971

「オーダーされていた物、入りました。」
 
 
また・・・
馬鹿な買い物をしてしまった。
 
今回の仕入れは・・・
 
 
バリンダロッホ1971 34年 キングスバリー ファイネスト&レアレスト シリーズ シェリーウッド
 
以前にも紹介したが、この酒もグレン・ファークラスで、
ファークラスの名前はボトラーズには許可しないが故に
こんな名前を使っているのは、モルト飲みには既知の事。
 
だが、ファークラスのオールドはかなり美味い事はあまり知られていないようで、
ありがたく今回も手に入れる事ができたワケだ。
 
以前手に入れた
ダグラスレイン・OMCの「PROBABLY SPEYSIDE’S FINEST DISTILLERY」は
1966年蒸留の41年物だったが、今回はキングスバリー。
 
OMCはあまりの凄さに未だ飲みきる勇気が無いが、その代わりになれば・・・
と買ってみて、70年代モルトとボトラーズ違いをも楽しもう・・という魂胆だった。
 
ファイネスト&レアレスト シリーズはキングスバリー社の中でも特別扱いのシリーズで、
最初にリリースされた「マッカラン1976 28年」は懐かしい70年代モルトの顔をしっかり持っていた。
 
その素晴らしさ故にこのシリーズとしては「グレンリベット1978 29年」や
「ロングモーン1980 26年」を仕入れたが、今回はシリーズ4本目・・という事になる。
 
 
で・・・
 
飲んでみた。
 
 
 
あ・・・
 
え・・・?
 
 
開けたての味は、例によって寝た子を起こすような物だったが、
ある意味ファークラスらしい太さがちゃんとある。
 
そして舌を刺すようなスパイシーなキック。
 
ちょっとして、シェリーらしい味わいが余韻とともに起きてくる。
 
まぁ・・・34年物なので、
30分は放置・・です(^_^;
 
 
45分ほど経って、やっとチリチリとしたキックが収まり、
軽めのシェリー樽らしいクセが出てくると、70年代モルト独特の
強さと奥行き、そして今一歩な優しさが際立ってくる。
 
 
やばいねぇ・・・
これ(^_^)
 
カシミアのような優しさは無くても、
ウール100%のような暖かさがある。
 
そしてファークラスだよ?
って言いたげな個性もちゃんとあって・・・
 
 
これ、フラスコに入れてキャンプに行って、
焚き火の前で飲んだら、楽しいかも知れない。
 
 
「あの・・・
 もう一本も届いてますが」
 
 
え・・
アッチも?(爆)
 
 
という事で、それは別の記事に・・・
 
 
しかし、相変わらず
馬鹿まっしぐら・・・ではありますね(^_^;

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