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2006-10

ブルックリン

「ブルックリンっていうカクテル知ってる?」
 
「・・えっと、ジンベースだよね?」
 
「違うよ、ウィスキーベースだよ」
 
「え?」
 
 
そんな会話を酒好きとした事があって、
昨晩はそんな話をバーテンダーにぶつけてみた。
 
 
「ブルックリンは所謂マンハッタンの亜種なんですが、
 サントリーのカクテルブックにはジンベースのカクテルも記載されてますね。」
 
「え・・・? そうなの?」
 
「はい」
 
「じゃ、ヤツが言ってたのは勘違いじゃなかったんだ」
 
「そうですね。
 でも、ジンベースのブルックリンって、凄くレアだと思います。」
 
「で、ウィスキーベースのブルックリンはどうやって作るの?」
 
「飲みますか?」
 
「えぇ」
 
 
ロングモーン1975にノイリープラットのドライベルモットを合わせ、
マラスキーノとカンパリ(本来はアメール・ピコン)をワンダッシュ。
 
ステアで作られたショートカクテルは、
ベースにしたマッカランの甘さを巧く際だたせて、
抜群に美味かった。
 
 
「これ・・・馬鹿美味・・・」
 
「正解でした?」
 
「ロングモーンとバランスが良すぎ」
 
「本来はライがベースになりますから、合うだろう・・と思って」
 
「こうなると次もカクテルが欲しくなるなぁ」
 
「じゃ、次はロングドリンクかロックスタイルはいかがですか?」
 
「ロックスタイルがいいなぁ・・・」
 
「甘くてもいいですか?」
 
「もちろん」
 
「ラスティ・ネイルかゴッドファーザーですね」
 
「ゴッドファーザー?」
 
「お疲れの時には、甘さが優しいですよ」
 
 
マッカラン1978・ラムウッドフィニッシュ40mlに
アマレットを20ml。
氷を入れたオールドファッショングラスにそれぞれを注ぎステアするだけの
ビルドでできる簡単なカクテル。
 
 
「え・・・
 甘いけど美味いねぇ・・」
 
「マッカランの良さが消えてないでしょ?」
 
「うん、モルトに対しては冒涜だけど、
 なんかこういうのも嬉しい」
 
 
こうやって馬鹿の夜は更けていく・・・(/–)/

フレンチナックル

「このモルトでなんか作ってくれない?」
 
「これは・・・難問ですね。
 でも、ちょっと考えますね。」
 
 
マッカラン1977(ダグラスレイン Old&rare)
を使ったカクテルを所望した。
 
勿論、酷いオーダーだって事はわかっているけど、
マッカラン飲みとしては魅力に薄いこのシリーズ。
 
ならば上質なモルト故に表現できる妙を味わいたい・・・
と思ってしまったのだ。
 
 
「お待たせしました」
 
「え?」
 
「かなりのクセ玉ですが・・・」
 
 
クセ玉なんてもんじゃない。
 
目の前に出された物はおよそカクテルとはほど遠い格好をしていた。
 
 
「洋なしのシャーベットです。
 手持ちのシャーベットではアプリコットしか無かったので
 レストランに走って持ってきました。
 と言う事で、本日コレ、ラストワンです。」
 
 
そう・・・
 
洋なしのシャーベットにモルトをかけたシンプルなカクテル。
 
名前は・・・無い(^_^;
 
 
どんな味がするんだ?・・・
と味わってみる。
 
洋なしの出しゃばり過ぎない甘さに、
マッカランの柔らかく穏やかな味わいがマッチする。
 
そしてより際だつアルコール・・・・
 
美味い(^_^)
 
 
「これ・・絶妙かも」
 
「アプリコットじゃ甘過ぎちゃうし、
 レモンじゃ強すぎますので。」
 
「名前は?」
 
「・・・ありません」
 
「なんかさ、剛速球が来ると思ったら、
 いきなり子供騙しのようなフォームで繰り出されるナックルボールのようだ。」
 
「すいません、クセ玉で。」
 
「子供騙しだと思ったら、そのまま大人も騙されるような美味しさだねぇ・・・」
 
 
バーテンダーは応えずにニコッと笑った。
 
 
毎度、彼にはやられている。
 
想像もつかない取り合わせの中から、
予想外の美味しさを味わされてばかり・・・だが、
今回の発想には正直、驚かされた。
 
誰が、シャーベットとプレミアムモルトの組合せを
考えつくのだろう・・・・
 
相当のモルト馬鹿が頼むアクセントには
並の素材では対応しにくい・・という考えだと思うが、
その発想が並じゃない。
 
だからこそ、難問をぶつけたくなるのだが、
毎回想像以上の味を提案されて、納得させられてしまう。
 
この引出の多さが、物作りを担当する人の魅力となるのだが、
自分自身はどうだろう・・・と跳ね返ってくる考えに、襟を正す気分にさせられる。
 
たかがカクテル。
されどカクテル・・・か(/–)/

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