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2005-10

As We Get It

イアンマクロード社のラガブリンを飲んだ。
 
14年と記されたそれは,手に入れたまま・・というラベルがついた,
挑戦的な物。
 
イアンマクロードはダグラスレインと並んで,かなり外れの少ないボトラーズ。
 
しかし,数の少なさから希少性が高く,あったら飲みたい酒の一つと言っていい。
 
たまたま,そんなボトルに出会ってしまったから・・・飲んでみた。
 
 
所詮ラガブリン・・・・と思いつつ味わってみると,
最初は期待通りのツンツンした感じがあったが,その後が面白かった。
 
固い石けんが溶けてヌルヌルするような感じで,
口当たりが柔らかくなっていく。
 
と同時に,味わいの奥行きがどんどん広がっていき・・・・
 
思わず,「うめ!」と叫んでしまった(爆)
 
 
最近,こういった出会いが無かったからか,妙に新鮮な出会い。
そして,少なからず,ショックも感じる。
 
もう,美味しいモルトなんて無い・・・と
どこかで諦めていた。
 
若い酒は,表面だけ繕って,身の詰まってない貧弱な身体しか
持っていない・・・と,決めつけていた。
 
だが,このモルトは,そんな考えにダメを出す。
 
 
何事も,決めつけはいけないね(^_^;)
 
モルトの世界は,まだまだ捨てたもんじゃ無いらしい。

平和なブレンデッド

最近は珍しい物を飲むチャンスが少ないが、
78年のグレンファークラスを久々に飲んで思う事があった。
 
美味かったんだけど、懐かしい味だけど、
現在の物なんて比べ物にならないくせに・・・
 
当たり前の酒に感じてしまう(^_^;)
 
その時、その時の酒が素晴らしいと感じても、
絶対的な味わいで言えば良き時代の物には敵わず、
さりとて今飲める物が全然ダメだ・・という事でもない。
 
美味しい・・という基準は、
主観的な上に環境に左右されやすく、
要は気分次第・・・という事なのかも知れない。
 
常に酒と対峙して飲んでいるような私にとって、
第3者が介在する場合は、基本的に酒の話をして欲しいと思っているが、
運悪く隣に座った人の愚痴の相手なんかしてしまうのも、
ひょっとしたら楽しいのでは・・・とさえ思ったりした。
 
 
酒場は楽しく酒が飲めれば良いわけで、その方法論はいくつあっても良いし、
必ずしも上等な物で無くても良い。
 
飲んでる横でカラオケを歌われても、なれなれしく声をかけてくる人がいても、
一緒に馬鹿笑いできれば酒は美味くなれる物。
 
その時の酒は必ずしも高い酒じゃなくてもかまわない。
 
そんな当たり前な事に気付いた夜、飲んでいたのはバランタイン17年。
(もちろんロイヤルハウスホールドがあったら言う事は無いのだが、
 そんな高級で珍しいボトルがそうそう店に常備されてはいないし、
 高くて手が出ない可能性大)
 
ブレンデッドで飲んでもいいと思っているのは、バランタインの他には
ジョニーウォーカーかフェイマスグラウス。
おっとデュワーズ・ホワイトラベルという大好きなスコッチもあった(^_^;)
(間違っても山崎や響は飲まない)
 
するするとロックでも水割りでもストレートでも楽しめるそれらは、
何処にでもある顔をしている分だけ平和な応対を受ける事が多いし、
何より優しくて楽しい平和な酒だと思う。
 
個性ある物が好きな事には変わりないが、
没個性でも優しさにくるまれたい日だって、あるって事・・・・さ(/–)/

グレンアラヒ

もう1つのモルト、「グレンアラヒ」はリンゴのような甘さと言われる酒だが、
とにかく数が少なくて、ある意味幻のモルトと言われる物の一本と言っていい。
 
スペイサイドモルトの優しさは、疲れた私にはありがたいもので、
だからロングモーンと一緒に飲んじゃお・・・という気分になったのだが・・・・
 
こいつはちょっと・・・凄かった。
 
 
「グレンアラヒ31年」1971(53.8%)
 ダグラス・レイン(Old&Rare)
 
 
そう、またもやあの「Old&Rare」シリーズ。
今まで飲んだこのシリーズには、一度も裏切られた事がなく、
だからこそこのモルトもオーダーする気になったわけで、
飲む前から美味しい事だけはわかっていたのだが、
それにしてもその味は、想像を超えていた。
 
 
注いだばかりのアラヒは、まさしく30年以上寝込んでいた事を証明するように素っ気なく、
香りも殆ど立ち上らない状態であったにも関わらず、
その味は・・・・
 
 
うわ!?
 
と思わず声が出るほど甘く、
口腔内に膜を作るように広がるオイリーな感触は、
今まで飲んできたモルトとは別物のような味わいを演出する。
 
 
長い余韻を味わうより、この甘さは、なんと表現したらいいのか?
という疑問が先に立つほどの楽しさが、最初の一口からあるって事自体、信じられない。
 
そして、例によって、たっぷり時間をかけて飲んでいくと・・・・
 
べったりとしていた甘さや感触が、どんどんスムーズに、
どんどん豊かに変化して、すっきりとした味わいに変化していくのだ。
 
ロイヤル・ブラックラやバルブレアのような、甘さが特徴的なモルトとは明らかに違い、
その甘さの質が骨太で、ズシンとくる・・でもどこか懐かしい甘みが楽しくてたまらない。
 
30分を過ぎる頃から爽やかな甘い香りが立ち、
1時間を超えるあたりから、甘さ自体が変化した。
 
例えて言えば、黒糖のような甘さ。
柑橘系を思わせるような酸味は弱く、情報とは食い違う理由としては
その熟成期間の長さと熟成樽の違いがあるのだろう・・と思った。
 
 
ネットで流れているテイスティングノートは、私自信が感じるものとは
大きく食い違う事が多々ある。
 
それは飲む状態の違いや、環境の違いで、大きく味わいが変わる酒である事の証明と、
テイスティングする人の主観が大きく影響しているからだと考えている。
 
同じモルトでも、瓶ごとに味が違う事もあるのだから、
たった一本をちょっとテイスティングして、全てを語る事は意味が無く、
私自身は、飲んだ酒が「美味しかったぜぇ」と感想を述べているにすぎないわけで・・・
 
でも、
美味しいんだよねぇ・・・
 
と、相変わらず馬鹿丸出し・・ではありますねぇ(/–)/

ロングモーン1975

「届いています」
 
「来ちゃった?
 どっち?」
 
「両方」
 
 
・・・・両方かよ(^_^;)
 
という事で、グレンアラヒとロングモーンが目の前に登場した。
 
で、まずは、大好きなロングモーンをテイスティングしてみる。
 
 
ロングモーン27年1975(OMC)ダグラスレイン
 
 
どれどれ・・・
あれ?
薄い・・・・
 
最近、カスクばっかり飲んでいるからか、
久々に飲むOMC独特の50%加水モルトが薄く感じてしまうらしい。
 
もちろん最初は刺すようなピリピリ感と同時に、
飛びやすいキツイ匂いのアルコールが刺激的なのだが、
それでも飲み味は薄く感じてしまう。
 
香りは・・・
本来のロングモーンらしさはあまり見えず、
というかまだ全然眠りこけてる状態で、判断がつくわけもない。
 
では・・・と放置しつつ待っていると・・・
 
30分を過ぎた辺りから、やっと「らしさ」を振りまきだした。
 
桃を思わせるような爽やかでちょっと重みのある甘さが、
ぼ~っとしていたボディに色をつけて華やかに舞う。
 
 
「やっと、本性を見せる・・感じだけど、まだまだだねぇ」
 
「もう一本のロングモーンに比べて、色が薄いですね」
 
「アイツは、シェリー樽だからね。
 おかでげ味はマッカランみたいだけど(^_^;)」
 
「甘さ・・出てきましたね」
 
 
どうしても古い酒は時間がかかる。
 
だから仕方ない・・・と思いつつも、ちょっとだけ無粋な飲み方として、
目の前にはスタンダードなモルトが入った別のグラスが複数並び・・・・
 
思いっきり馬鹿丸出しで飲んでいたりする。
 
 
そして1時間も過ぎた頃・・・・
 
スペイサイドらしい甘さと爽やかな酸味がバランスされた、
オレンジまではいかない柑橘系のフレーバーが登場した。
 
 
「まだ、変わりますかねぇ?」
 
「変わるでしょ。
 古い酒、しかも70年代。
 幅は狭くなっても、奥行きはまだ残ってる時代だから。」
 
「最近、70年代の酒も減りました」
 
「そうだよねぇ。
 この前79年のつもりで89年の酒買いそうになって、
 レジまで行って値段が安いんで気付いたよ」
 
 
「そんな間違いをするんですか?」
 
「蒸留年を書かない酒が増えたんで、手書きのラベルにちょっと騙された・・・かな(^_^;)」
 
 
馬鹿丸出しな客が、馬鹿丸出しな飲み方で、
日頃飲めない鬱憤晴らしまでしているのだから・・・・
 
この日のカウンターは思いっきり濃かったろうなぁ・・(/–)/

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