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2007-12-31
一杯のかけ蕎麦
- 2007-12-31 (月)
- 日記的雑感
「かけ蕎麦ください」
「珍しいですね、
いつもはもりなのに。」
「寒いからね」
「お酒?」
「えぇ、燗してね、一合でいいです。
そうだ、板わさもね。」
「はい〜」
行きつけの蕎麦屋で素っ気ないけど
暖かくなるブランチを取る。
でも・・
いつもと違うのは、蕎麦が「かけ」だったという事。
よく行く店なのに、
いちどもかけそばを食べた事がなく、
暖かい蕎麦は邪道だと思っても、今日は外へ出たりする可能性大なので、
まずは勢いをつけたかった。
〆張鶴を板ワサでやっつけているうちに出てくる「かけ」
ど〜れどれ・・と啜ってみると、
え?
これ、美味いじゃん(^_^)
蕎麦、伸びてないよ・・・
いや、驚いた。
新蕎麦で打っている蕎麦だから・・・というだけではなく、
蕎麦の香りと柔らかい中にある蕎麦の腰があって、妙に美味いのだ。
あ・・・
これって、汁も美味いんだ。
いつもは何か具が乗っていて、
その具の味が優っていて気付かなかったのだが、
何も具が無いと、出汁の旨味がよくわかる。
蕎麦湯をもらって、かけ汁に足して飲んでみると、
これがまた美味くって・・・
ちゃんとした蕎麦屋で食べる「かけ」が
こんなに美味いって、知らなかった・・・(^_^;)
「今夜が勝負?」
「そうですね。
今日は蕎麦屋にとって戦争です。
こんな早い時間はまだ全然だけど、
夕方は店閉めて、蕎麦も生蕎麦だけ売るんですよ」
「あ、そうだったけ?
夜来なくて良かった〜」
「年越し蕎麦、お持ちになります?」
「あ、いや、今年も多分、
何時になるかわからないし・・・」
「あらあら」
華美に飾る事が当たり前な時代に、
何も飾らない物の良さを知る。
それも大晦日に。
変わるべき物は自然な形に変化していくが、
本物は変わらずに、ただただ磨かれていく。
そして磨かれたソレは、何にも揺るがない力を持って、
誰にでもわかる魅力を持って、そのままでいるだろう。
今年の自分は、
自分らしく、自分に嘘をつかずに生きてきたろうか?
一杯のかけそばを啜りながら、
そんな事を考えていた午後、
空は気持ち良く晴れていた。
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