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2008-08-24

国替え

まだケンタウロスが、カネサカビルにあった頃。

ある時はクラブハウスがある2階に続く階段を、
血だらけになった男が転げ落ちてきたり、
ある時は、入口に置かれた小さなベンチで
大将と兄弟がへべれけになっていたり・・・と
一般人から見たら、それは野蛮な集団に見えたはずのケンタウロス。

そしてそんな場所に集まってくる人間達は、
ストレートのバーボンを飲みつつ交わされる問答や、
道交法を守って走る児回りでのキー争奪戦などに参加させられ、
いっぱしにクラブハウスメンバーになる頃は、
違う世界の中でその存在を認知してもらうために、
必要以上のアトラクションを繰り広げる事もよくある話だった。

 

常に殺気をみなぎらせるガードや、
部屋の隅で殺気を懐に隠して傍観する長老、
それがクラブハウスの空気を重くしていたが、
クラブハウスに出入りするようになった人間は
そこに溶け込む事に必死だったのかも知れない・・・と今は思う。

そんな気が抜けない場所の中で、
ホノボノとした空気をまとった長老の1人が居た。

 

私が会った頃に彼が乗っていたのはヤマハのビラーゴで、
そのスタイルからゆっくり走る人だと思っていたが、
ある時夜一緒に走る事あった。

 

「俺のバイクはコーナー苦手だから、
 ゆっくり走ってくれよな」

「またまた・・
 そう言いながら、どんでもない速度で走るのが常じゃないですか。」

「ビラーゴだぜぇ?
 お前のようなカウル付きのバイクと一緒にしないでくれよ」

 

でも、当時の国産アメリカンは、
実は運動性能がかなり良い事は知っていた。

それになんたって1100ccだ。
遅いワケはない。

はたして、一緒に走り出すと、
こっちがかなりの加速をしているにも関わらず、
斜め後ろでニヤニヤ笑いながらついてくる。

交差点で止まると・・・・

 

「な、遅いだろ?」

 

そこにはあの憎めない笑顔が
輝くように、あった。

 

 

そんな彼が国替えをした。
心筋梗塞と聞いている。

残念ながら、あの時代を生き抜いてきたメンバーが
また1人旅立っていった。

 

岡さん
安らかにお休みください。

私が国替えした時は、よろしくお願いします。

 

 

通夜:27日18時〜19時
告別式:28日10時〜11時
場所:高円寺南2−31−2 長龍寺会館

on your mark

よく「嫌な事も大変な事も、全部捨てて一からやり直せ」って言う人がいるけど、
それはやり直すための基本的な力がある、という前提に寄っかかった言葉じゃないか・・・
と思っていたりする。

 

例えば、普通に歩けなかったりすれば、
会いたい人に会う事も自発的に行う事は難しくなるし、
例えば半身の感覚を失っていたら、
両手や両足を駆使しないとできない事には、
最初から目を向けないようになる、と思うからだ。

要は、全部捨てる・・・と言ってもそれは単なるリセットで、
実は何も失わずに、責任やしがらみだけペナルティを払いつつ
捨て去れって事ではないか・・・と(^_^;)

 

そんな事を考えるのはもちろん、
今の自分の状態が身体的にも精神的にも悪いからだ。

先週は、色々な身体的トラブルが重なっていて、
嫌な事を捨てようにも、身体が動いてくれなかった事もある。

自分自身と向き合うばかりの一週間はかなり苦痛で、
生き続ける気力を半ば失いそうにもなっていた。

どうせ自分なんて、誰にも必要とされていないのだ・・・
と悪く考えたくなってしまうらしい。

 

わかってるさ
ちょっとへこたれてるだけさ。

ダメな時にダメになっていくのは、
自分のせいだからね。

 

休憩が必要な時は休憩し、言いたい事は言って、
涙が溢れるほど寂しかったら泣き叫んでも、
誘いは出来る限り受けて無理矢理でも動く。

それがきっと、元気が湧くキッカケになると知っているから、
動けない時の視界を「引出」にしまいながら「今の全速力」で走るしかない。

 

今起きている事は、次への準備。

やりたい事は見えているのだから、
そのために必要な時間だと理解して、
飛び出すための力を貯める事にしよう。

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