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国替え

まだケンタウロスが、カネサカビルにあった頃。

ある時はクラブハウスがある2階に続く階段を、
血だらけになった男が転げ落ちてきたり、
ある時は、入口に置かれた小さなベンチで
大将と兄弟がへべれけになっていたり・・・と
一般人から見たら、それは野蛮な集団に見えたはずのケンタウロス。

そしてそんな場所に集まってくる人間達は、
ストレートのバーボンを飲みつつ交わされる問答や、
道交法を守って走る児回りでのキー争奪戦などに参加させられ、
いっぱしにクラブハウスメンバーになる頃は、
違う世界の中でその存在を認知してもらうために、
必要以上のアトラクションを繰り広げる事もよくある話だった。

 

常に殺気をみなぎらせるガードや、
部屋の隅で殺気を懐に隠して傍観する長老、
それがクラブハウスの空気を重くしていたが、
クラブハウスに出入りするようになった人間は
そこに溶け込む事に必死だったのかも知れない・・・と今は思う。

そんな気が抜けない場所の中で、
ホノボノとした空気をまとった長老の1人が居た。

 

私が会った頃に彼が乗っていたのはヤマハのビラーゴで、
そのスタイルからゆっくり走る人だと思っていたが、
ある時夜一緒に走る事あった。

 

「俺のバイクはコーナー苦手だから、
 ゆっくり走ってくれよな」

「またまた・・
 そう言いながら、どんでもない速度で走るのが常じゃないですか。」

「ビラーゴだぜぇ?
 お前のようなカウル付きのバイクと一緒にしないでくれよ」

 

でも、当時の国産アメリカンは、
実は運動性能がかなり良い事は知っていた。

それになんたって1100ccだ。
遅いワケはない。

はたして、一緒に走り出すと、
こっちがかなりの加速をしているにも関わらず、
斜め後ろでニヤニヤ笑いながらついてくる。

交差点で止まると・・・・

 

「な、遅いだろ?」

 

そこにはあの憎めない笑顔が
輝くように、あった。

 

 

そんな彼が国替えをした。
心筋梗塞と聞いている。

残念ながら、あの時代を生き抜いてきたメンバーが
また1人旅立っていった。

 

岡さん
安らかにお休みください。

私が国替えした時は、よろしくお願いします。

 

 

通夜:27日18時〜19時
告別式:28日10時〜11時
場所:高円寺南2−31−2 長龍寺会館

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