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2008-08-26

順番

「ちょっとだけ飲みたいから、一合飲まない?」

「あぁ、いいですねぇ」

 

昨晩はちょっと涼しくて、ビールより日本酒の方が気分だったし、
行きつけの蕎麦屋には楽しい冷酒と美味しいアテがあるから、
ちょっとだけ・・・という提案は無事受理されたようだ。

 

「今日、日本酒は何がありますか?」

「ちょっと出しますね」

 

いつも売りたい酒があると、熱心に勧めてくれる店長は不在で、
年配の店員が応対してくれたが、出してくれる酒の特徴は説明してもらえない。

が・・・・
今日はそれで良い。

軽く飲んで、蕎麦を手繰って、
するっと出て行くパターンだからだ。

 

「じゃ、臥龍梅を一合、お願いします。
 それとアテは・・・・鴨のつくね焼きを。
 蕎麦は温かい物にしますね。
 精進煮蕎麦と・・・?」

「私はかき揚げ蕎麦を。 暖かいのね」

「わかりました。」

 

この店は、つまみも蕎麦も美味しく酒も美味しい物が揃っているので、
関内地区では結構人気がある。

だが昨日は何故か客が居なくて、
私達以外には一名の客が、既に蕎麦を手繰っている状態だった。

 

「お猪口をお選びください。」

 

ザルに様々な猪口を用意し、客が選ぶスタイルが楽しいが、
形は様々でも薄さが均一に見えるあたりが、私の好みからは外れている。

でもそれは毎度の事なので特に気にせず、
ガラスの猪口を選んだ。

 

「臥龍梅、一合です。」

「ありがとう」

「んじゃま、いただきますか」

 

その日は、後期の資金繰りの話など、
ちょっと重めの詰めたい話があったから、
こんな潤滑油はある意味必要悪であったりする(^_^;

するっと飲もうとして、何かが違う事に気付いて猪口を見ると、
酒は漏れないものの、気になる大きさのヒビが入っている事に気付いた。

 

「あらら・・・ヒビ、入ってるな。
 漏れないから、このまま飲むかなぁ・・」

「換えてもらえば?」

「そうだねぇ・・・」

「何かのタイミングで割れても嫌じゃん?」

「すいません! お猪口換えてもらっていいですか?」

 

店員があわてて猪口のザルを持ってきた。

 

「どういたしました?
 あ、申し訳ありません、お取り替えしましょう」

「やっぱりちょっと恐いしね」

 

ヒビが入った猪口を渡すと、彼はそのまま持っていこうとする。

 

「ごめん、酒勿体ないから、移すね」

 

殆ど猪口いっぱいに注いであったから勿体なく思ったんだけど、
できた店なら、その分は酒を足してくれるんだけどなぁ・・・(^_^;

と、ちょっとだけ意地汚く考えたりするが、
それよりも今は、仕事の話だ。

 

アテが出てくるはずだから・・・と、ピッチをかなり遅くして飲みつつ話をしていたが、
なかなか「鴨のつくね焼き」が出て来ない。

まぁ、2人で飲んでるんだから、アテが出た時酒が足りなかったら、
もう一合頼めばいいや・・・(^_^;)

と、シビアな話を続けていた。

 

「お待たせしました、精進煮そばです」

 

え?

何故、先に蕎麦が出る??

 

「すいません、つくねは?」

「今作っています」

「そうですか・・・」

 

この時点で、実はかなり腹が立っていた。

だが、こちらも明確に蕎麦を後にしろとオーダーしてない。
だから腹を立てても、我慢すべき事なのかも知れない。

でも、アテを待って残した冷酒を飲んでいれば蕎麦は伸びるし、
アテが出るまで蕎麦をやっつけていると、酒を飲む気分が落ちるだろうし・・・

 

「お待たせしました、かき揚げ蕎麦です」

 

 

 

ブチッ・・・・・・

 

「すいませんが、つくねはキャンセルしてください。」

 

2人とも、熱い蕎麦です。

かき揚げ蕎麦なんて、衣が汁に浸みていく短い時間にこそ
その食感の楽しさがある物です。

このまま待っても、2人は当然に蕎麦に集中します。
勿論、腹も空いているワケです。

もし、かき揚げ蕎麦の前につくねが出てきたら、もしくは同時に出ていたら、
自分のオーダーにダメ出しして諦めるつもりだったが、
店には他の客もいないような状態で、酒のアテを蕎麦より後に出す事は・・・・

許せん!
と言うか、食べる気になれん!!

 

 

で・・・
気付いた事。

不愉快な気分で食べると、美味しいはずの物が不味くなる・・という事。

 

で・・・
推理する事。

オーダーを通し忘れたから、厨房が先に蕎麦を作ってしまった・・・?

 

で・・・
思う事。

順番は、大切です。
言い逃れは、時として逆効果です。
間違えてはいけない所を間違えると、全て台無しです。

 

 

過去、一度もこのような出し方をしない店だったから、
大切にして、客も連れて行く所として認識していました。

ただ、若干のミスがあったとしても、
笑って許せる愛情は持っています。

だから次回、店長にはこの件を話そうと思います。
これからも付き合っていきたい、大切な店だからこそ。

 

愛情が無ければ・・・・
単に2度と行かなくなるだけ・・・だからね(/–)/

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