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日記的雑感 Archive
13&Rose
- 2006-06-18 (日)
- 日記的雑感
「ポールジローで何か美味い物を作ってよ」
「これは、ストレートで飲まれた方が・・・」
「そうなんだけどね、『スイート・デビル』のような化け物作れるひとなら、
なにかやってくれそうだからさ・・・」
「わかりました」
ポール・ジロー・エクストラヴァイユー 2
ベルヴェデール・ウォッカ 1
レモンジュース適宜
レモンピール
シェイクして少しアイスフレークを散らした形のカクテル。
レモンピールを効かせる。
「ショートカクテルを作るのは久しぶりですね」
「最初の一口だけ味わって頂いたら、その後レモンピールをかけますので」
「変身の楽しみを味わえ・・と?」
「はい」
キンキンに冷やしたアップグラスに注がれたソレは、ポーランド産のフレーバーウォッカの味わいと
ポール・ジローらしい香りと苦みのバランスが上手く絡んだ逸品になっている。
「美味い・・(^_^)」
「では、魔法です」
バーテンダーがピールを絞ると、
爽やかなレモンの香りが立ち上る。
え・・?
これ、凄い美味いじゃん・・・(^_^;)
ほんの少し混ざっているレモンジュースが、いきなりレモンその物に変身するほどの変化が楽しい。
「名前は?」
「ついてません。
また、つけてください・・・」
「え・・・と、そうだ!
今日が13日なので、『ラッキー13』ってどう?
こんなに美味しいカクテルが飲めるラッキーな13日だって」
勿論、深い意味はありません。
大好きなブランド名でもある「LUCKY13」にあやかって、
勝手につけちゃいました(爆)
ショートカクテルなので、三口で干してしまう・・・と
当たり前の事だけど次が飲みたくなる(爆)
「で、次は?」
「え・・と、はい。」
ポール・ジロー 3
レモンジュース 1
カシス
またもや、ショートカクテルである。
シェーカーで冷やされたそれは、カシス独特の色を纏っていた。
「これは?」
「ジャックローズというカルバドスを使うカクテルがあるんですが、
そのカルバドスをジローに換えて、カシスを使って作ってみました。」
え・・・?
これも侮れない・・・(^_^)
カシスとレモンのバランスも良いのだが、
ジローの持つ苦みが上品なアクセントになっている。
「もしかして、これも名無し?」
「はい」
「それじゃ女性が好みそうな上品な甘さがある・・という事で、
『クイーンローズ』ってどう?」
「良いですね(^_^)」
「だけどさ・・・
このペースでショート飲んでると、潰れちゃうよ」
「では、ビトウィーン・ザ・シーツでも作りましょうか」
「潰したいの?」
「いえいえ」
えぇ・・・
バカ丸出しですから(^_^;)
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経年変化
- 2006-06-02 (金)
- 日記的雑感
懐かしい店に顔を出す。
自分がモルトを覚えたその店には、以前と変わらない空気が流れていて、
相変わらずの気分でレアなモルトを選ぼうとしていた。
え?
ちょっと待って・・・・
飲みたい・・と思わせるモルトが無い??
そう・・・
ここしかないだろう・・と思えるようなモルトがいっぱいあったはずの店は、
現在手に入る若いモルトがずらっとならぶ店に変わっていた。
モルトファンが集う店だから、レアのモルトはどんどん飲まれてしまうのだろう・・・
入手困難なモルトは補充が効かないから、
今の風景は当然の帰着だ。
でも・・・
なんか寂しい・・という気持ちを持ってしまう。
どうにかして、今手に入るレアの物を揃えて欲しい・・・と
正直感じてしまうのだ。
実は、貴重なモルトを隠しているのかもしれない・・とも思ったが、
バックバーに流れる空気は以前の物とは全く違うのだ。
尋ねて、コレだけだ・・と聞いてしまったら、
二度と足を向けない事にもなりかねない・・・・ので、
この店の良い所だけを楽しむ事にした。
フードもモルトの扱いも素晴らしいこの店で、
今楽しめる美味しい物を楽しめばいい・・と。
しかし・・・
美味しいモルトは、本当に減ってしまったんだねぇ・・・(・_・、)
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かけつけ3杯
- 2006-04-19 (水)
- 日記的雑感
「いらっしゃいませ」
「久しぶりです」
「何にしますか?」
「ボイラーメーカーを」
いきなりマスターの顔が引き締まった。
「今日はラフロイグがカスクしかないですけど」
「お願いします」
ギネスをマグに注ぎ、ショットグラスになみなみとラフロイグを満たす。
ビロードの様な泡が少し収まる頃、2つのグラスが目の前に揃った。
モルトをこぼさないように静かにショットグラスを持ち上げ、
ギネスの泡の中に静かに沈め、指に泡が付きそうなるまで入ったところで、
意を決してリリースする。
・・・と、見事! 泡は盛り上がっただけで一滴もこぼれないまま、
ショットグラスだけが静かに底まで沈んだ。
ふわっと広がるアイラの香り・・・
舐めてみると、絶妙なブレンドで、ギネスとラフロイグが自己主張をする。
「やっぱ・・・これだなぁ」
「一気にいきますねぇ」
「うん、短時間に酔いたい感じだし」
「かけつけ3杯ですね」
「ショットガンはやらないよ」
以前この店で「かけつけ3杯」と言うと、ショットガン3杯を意味していた(爆)
なかなか飲める店が少ない「ボイラーメーカー」だからこそ飲む意味もあるんだが、
確かに力業で酔う飲み物である事は否めない。
殆ど一気飲みに近いスピードでボイラーメーカーを空けると、
マスターがにやりと笑った。
「ウーゲデール、ありますよ」
「いただきます」
テイスティンググラスにたっぷり注がれたウーゲデールは、
最近のアドベッグとしては文句のつけようが無い良質さを誇る。
久々に飲んでみると、妙に固さが取れた優しさだけが感じられるが、
しっかりと強すぎないアイラっぽさが、凄い魅力なのだ・・と再認識させられる。
コイツも少し乱暴にストレートでするすると飲むと、
目の前に三角のボトルがすっと置かれた。
「ソレラですけど、いかがですか?」
「フィディックかぁ・・、最近飲んでないねぇ」
気持ち良くモルトを飲む夜、
心は軽く、気持ちも穏やかになれる。
やっぱり飲まないとダメ・・・なんだなぁ・・・自分(/–)/
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富士山嶺18年
- 2006-04-14 (金)
- 日記的雑感
「今,フェアをやってるんですけど,飲みますか?」
「え?」
「こちらですが。」
「え~? よく手に入ったねぇ」
バーテンダーが出してくれたのは,
キリンが作るモルト,「富士山嶺18年」(43%)だった。
「どうなの?」
「美味しいです」
「安い方は飲んだ事があるけど」
「どうですか?」
「値段の割には美味いと思ったけど,
まぁ,国産のウィスキーって感じだったよ」
「じゃぁ,こちらは驚くかも知れません」
そこまで言われれば,飲むでしょ(^_^;)
テイスティンググラスに注いでもらった18年は,
加水された43%のモルトだが,足もそこそこ出る良い姿をしていた。
まず一口
え?
嘘??
瓶半分ほどになっていたそれは,すでに有る程度開いている状況ではあるが,
いきなり飲んでみると,おそろしく柔らかい口当たりがある。
勿論,注いだばかりではフェノール臭があって,
このトップノートを飛ばさないと辛いのだが,
それを割り引いてもかなりのバランスを見せた。
5分放置した後,飲んでみる。
柔らかさの中に,若干のバニラ,柑橘系の香り,ほんの少しの焦げた香り・・・
15000円という上代が,その出来をアピールしているとは思ったが,
ここまでマトモだとは想像もしていなかった。
「バーボン樽,バッティングモルトの中にあるかもね。」
「一応,ジャパニーズ・オークと聞いています」
「ミズナラかい?」
「さぁ・・・(^_^;)」
10分経ってからは,木材からでるような香りが増し,
当初にあったバランスが崩れだす。
酸っぱさに似た果実味に近い味わいと,木の個性が立ってきて,
それを味わっているうちに,眉間から上がフワフワと酔いだした。
「これ,いいかもね。
でも私の身体には合わない成分がある。」
「人気は高いですよ」
「うん,売れると思う。
下手なブランド物よりよっぽど美味いし,
乱暴にすいすい飲むにはちょうど良いかもね」
キリンが御殿場で仕込んでいたモルトは,
ただならぬポテンシャルを持っていた。
最近の国産ウィスキーには,こういった良いモルトもある・・と
認識はしていたのだが,正直言って驚きと喜びを感じている。
ただ,コストが高い。
そのコストとパフォーマンスを比べると,
まだまだスコッチには距離があるように思えてならない。
むやみに高価にしているのでは無い事もわからないではないが,
そこら辺,どうにか頑張ってもらえないものだろうか?
>大手国産メーカー殿
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アードモア
- 2006-03-25 (土)
- 日記的雑感
「今日は飲んでもらいたいのが数本あって・・」
「いきなり嬉しいですねぇ」
「ではまずはコレ」
と、マスターが出してきたのは、
アードモア11年(シグナトリー)
「また、珍しいところからきたねぇ」
「若いですけど、結構良いんですよ」
「正直言って、過去に1回か2回しか飲んだ事が無いよ」
そう、このモルトはティーチャーズというブレンデッド用のモルトで
オフィシャルボトルは極めて少ない事と知名度の低さで、
普通のバーに存在する事は殆ど無いと言っても過言ではない。
強い味わいと少しまとわりつくような濃さがあって、
スコッチらしい旨味が存在している酒だ。
「この後にオスロスクとハイランドパーク25年が待っています。」
「え?
ハイランドパーク25年?
もしかして??」
「ネタバレしちゃってるからなぁ・・・
そうです、あの店で買っちゃいました」
「給料出たら買おうと思ってて、ふらっと顔だしたら
昨日3本あったモノが全部売れちゃっててさぁ」
「私が買った時は最後の1本でしたよ」
「ま・・・いっか。買ってもここに置いておいて飲んじゃうだけだし(爆)」
会社の傍の酒屋で見つけた勉強品のハイランドパーク25年は、
界隈の飲食店の注目を浴びていたモルトだった。
なんたって箱が無い・・というだけで、信じられない安さだったからだ。
(と言っても、程度問題だけど(^_^;))
そんな他愛の無い会話を楽しみつつ、久々のアードモアを味わってみる・・・と
木のバットで硬球をジャストミートしたような感覚で
スカッとしたパンチが口の中で破裂した。
「若さ・・だねぇ。
美味いねぇ~」
「いいでしょ。」
「やっぱり90年代の酒は、それなりに一本調子だけど
良い味出してるねぇ」
モルト全体に言える事として、70年代前半までの酒と90年代以降の酒は
ちゃんと個性があって美味しい・・・という事。
変化の幅と奥行きの深さ、そして生き残れただけの素晴らしさを持つ70年代以前のモルトは
そら~美味くてたまらんけど、如何せん高すぎる。
対して90年代以降の酒は、最初から最後まで同じ顔を見せる傾向が強いが
綺麗に化粧され、個性もブレず、どんな飲み方にも対応するイージーさがあって、
コレはコレで飲むに値する酒も多いのだ。
甘さと強めのキックは、長めの余韻の中で艶やかに輝き、
スコッチウィスキーを飲んでいる・・という満足を与えてくれる。
その心地よさがまた、次のモルトへの誘いになる・・・事は当然の帰結で、
結局、オスロスクとハイランドパーク25年も飲んでしまう事になった。
「娑婆の空気はどうですか?」
「いいねぇ。
美味い酒と美味いメシ。
おまけに素敵な女性もいっぱいで・・・」
「早く楽になって、娑婆で遊んでくださいよ」
「なかなかシンドイのよ~」
制作現場にいるようになってから、行きつけの店に顔を出す時間は短くなった。
居心地の良い店も様変わりし、貴重な常駐店は数える程。
でもまぁ・・・、タイトな時間の中で味わう少しのモルトも、
実は美味しいモノだ、と最近は気付いてきた。
数々のモルトを飲んできた経験が、その美味しさをさらに楽しいモノにしてくれるのは、
今日のモルトでもよくわかる。
以前飲んだ時は・・・と思い出す時、飲んだ日の事やその頃の自分の環境、
そして感覚などが蘇るのだ。
そしてちゃんと、今飲んでるモルトと記憶の照合をしながら、
現在の自分の位置を刻んでいける。
肩肘張らずに、気持ち良く飲めれば楽しいのが酒ではあるが、
記憶がその楽しさに花を添えるのは紛れもない事実だと、
あらためて感じた夜だった(^_^)
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