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2005-06-01

ピティヴェアック

キングスバリーのケルティックコレクションの素晴らしさは何度も書いているが、
最近リリースされた物はどれも素晴らしくて目移りがする(^_^;)
 
東屋で振る舞った「グレンリベット1977」はリベットらしさをしっかり持ちつつ
今のリベットにはあまり感じない奥行きと香りを振りまく素晴らしい酒だった。
 
贅沢を言うなら、もう少し向かしのリベットが持っていた花畑のような香りを
持っていて欲しかったが、それは贅沢言い過ぎ・・・と言うべきか(^_^;)
 
実はあの日持っていく酒を選ぶ時、最後まで迷った酒がもう一本あった。
 
 
「ピティヴェアック1974」26年 55.8%
 
 
ピティヴイクと発音する人も多く、かく言う私もバイクと発音してしまうが、
「ベル」の原酒でもあるコイツは、スペイサイドの中では穏やかな酒に分類される逸品。
 
しかし、その知名度はあまりに低く、発音しにくい名前でもあるから、
イベントで飲ませる酒としては向かない、と判断してしまった。
 
 
「ピティヴイク、入りましたよ」
 
「え?」
 
「酒屋のケルティック全部試飲してみたら、
 一番美味かったんですよ」
 
「なにぃ?
 全部試飲した・・だとぉ?」
 
「酔っ払っちまいましたけどね」
 
「そりゃそうだ。
 全部、カスクだよ・・・(^_^;)」
 
「飲みます?」
 
「もちろん。
 聞くまでもないでしょ?」
 
 
「ダフタウン」というモルトをご存じだと、
「ピティヴェアック」誕生の話は面白くなる。
 
「グレンフィディック」に対する「ヴァルベニー」や、
「スプリングバンク」に対する「ロングロウ」のように
「ピティヴェアック」は「ダフタウン」と兄弟の間柄になるのだ。
 
「ピティヴェアック」は「ダフタウン」を拡張するために作られた蒸留所で、
ポットスチルはレプリカで設備も熟成庫もほとんど共通であったのだが、
出来上がった酒は「ダフタウン」とは違う酒になっていた。
 
道一本隔てた場所で同じような施設で同じスタッフが作っても、
こういった事が起きるのが酒の面白いところ。
 
この兄弟もまた同じ道を歩いたのだが、柔らかさで言ったら
「ダフタウン」の方が上だと、私自身は感じている。
 
この蒸留所は2002年を最後に取り壊されたと記憶しているから、
実は二度と飲めない貴重なモルトと言っていい。
 
 
「うめぇ・・・・」
 
「でしょ?」
 
「なんて言うか、濃いって言うか・・・」
 
「ボディ、ありますよね?」
 
 
濃い色がついた「ピティヴェアック」は、
下手なモルトは全力疾走で逃げ出すほど、美味かった。
 
濃厚な味わいなのにしつこくなく、アルコール度数を感じさせない柔らかさに加えて、
エステルと樽香の合唱が実に楽しい酒なのだ。
 
 
「これ、無くなる前に買いに行こう」
 
「正解でしょ?」
 
「恐れ入ったって感じだよ」
 
「1974って数字に惹かれちゃったんですよ」
 
「なんかそこら辺の年代って、
 酒造りが大幅に変わっていく時代のような気がするよね」
 
 
グレンリベットと付ければ、どんな酒でも売れた・・という時代があってから、
マッカランという名前が付いていれば売れてしまう時代を経て、
蒸留年度を見て酒を判断する時代の到来がやったきた?のかわからないが、
今の私は間違いなく蒸留年度とボトラーズ名で酒を判断していたりする。
 
とにかく今は、60~70年代のモルトが「買い」らしく、
色々なメーカーからブランドだけは凄い酒がリリースされるようになってきた。
 
あるうちに買わなくちゃ・・・とは思っているけど、
そうそうポンポンと買えないから、悩みは尽きないんだけどねぇ・・(/–)/

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