- 2009-07-29 (水) 11:17
- 日記的雑感
最近、グラスの中で目覚め、成長し、
そして秘めたる魅力を少しずつ振りまいて誘惑する酒が、少なくなった。
モルト馬鹿としてはとても悲しく思っている事だが、
現在のモルトは、最初から最後まで顔つきを変えない整形美人が多く、
野暮ったい、とっつきの悪い娘が、見事に変身していく様を楽しめる・・
なんて事はとても少なくなってしまったのだ。
で・・
前から気に入っていたグラッパ、
それもベルタの樽モノを今年の東屋に出してみたのだが、
それがあの屋外においても、素晴らしい変化を見せた事と、
口開けならではの悪阻濾紙ほどの変化の幅が楽しくて、
とうとう行きつけのバーにキープする愚行を果たしてしまったのだ。
ベルタ トレ・ソーリ・トレ グラッパ・ディ・バローロ 2001
2000年の物に比べると、やや大人しい姿を最初に見せてくれたが、
10分もしないうちにアプリコット、ピーチ、少しオレンジ、微かにナッツ、
遠くにメープル、そしてネビオーロらしい葡萄の楽しさが、
一振り毎に、一口味わう毎に、その姿を変えながら目の前に現れる。
ウィスキーやブランデー等に精通しているバーテンダー達も、
この異端とも言えるグラッパを良く知っているワケではないようで、
お裾分けをしてみると、「グラッパの概念が変わりました」と正直な感想が返ってくる。
ただ、グラッパという酒の特性で、
抜けるのが早い・・と脅されていたからか、
どれくらいの速度でへたっていくか、が気になってしかたない。
という事で、初日は少しだけ楽しんでやめ、
翌日にもう一度飲んでみる事にした。
あら・・・
確かに、昨日より柔らかい感じが顕著だな
おやおや?
独特の香りが出現するのも早いぞ??
という事で、例え樽で熟成したグラッパであっても、
急速に抜けていく傾向があるのは、事実のようだ。
だが、だからと言って、不味くなったワケではなく、
最初から楽しく美味し飲れる、というだけの事。
当面、この酒の抜け方を試しながらも、
抜けちゃった後に、どんなカクテルを作ってもらうか・・と考える事も楽しくて、
当分、グラッパの変化から目を離す事はできそうにない。
「あ・・・そうだ。
これ、燃やしてよ」
「え?
これも、燃やしちゃうんですか?」
「うん。
だって、グラッパってさ。
エスプレッソと相性が抜群に良いんだぜ?」
「なるほど。
では、シュガーもクリームも抑えめで作ってみますね。
だけど、グラッパでアイリッシュコーヒーを作った事無いですから、
勝手がわからないんですよね・・・」
正直なバーテンダーである(^_^;
という事で、いつも通り作ってもらったアイリッシュコーヒーを飲んでみた。
え?
えぇ??
えぇぇぇぇぇぇ?????
驚いた。
上質なチョコレートを思わせるような、
穏やかで円やかで、決してグラッパが出しゃばらないで、
しかも何故かナッツ系の香りが出て・・・
もの凄く、美味い(^_^;
正直言って、
ナジェーナで作ったアイリッシュコーヒーも
ポールジローで作ったカフェロワイヤルも
コイツには敵わない・・・とさえ感じるのだ。
たまには、こういう良き出会いが
私の人生には必要・・・なようですな(^_^;
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