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たぶんこれはスペイサイドの?

PROBABLY SPEYSIDE’S FINEST DISTILLERY とボトルに書かれたこのモルト。
 
ダグラス・レインからリリースされる醤油の様な色をしたモルトで、
OMCシリーズ故に加水されアルコール度数は50%となっている。
 
で・・・多分スペイサイドと書いちゃうあたりがお茶目だが、
明確に蒸留所の名前を書けないのには様々な理由があるのだろう。
 
それでもモルト馬鹿としては、その素性を知りたいワケで・・・
 
 
「どうやら、グレン・ファークラスのようです」
 
「あぁ・・・・なるほど」
 
「心当たりが?」
 
「何故か知らないけどファークラスのボトラーズ物って、
 絶対にファークラスって書かないような気がするから、
 蒸留所が許さないのかもね、名前使うの」
 
「そう言えば、以前入れられたファークラスも
 バリンダ・ロッホという名前でしたね」
 
「邪推だけどね」
 
 
行きつけのバーで頼んだ一本は、
その色が示す通り、ラベルにもシェリー樽を使用した・・と書かれていて、
しかも蒸留年は1966だった。
 
 
「実はこのボトル、まだ日本に何本も入ってなくて、
 今回のリリースはリクエストのあった分だけのようです。」
 
「え?
 じゃぁ、貴重品?」
 
「基本的、お客様がお入れになるモルトは、全部貴重品ですが」
 
「貴重品があるよ・・・と上手く勧めてくれる優秀なバーテンダーの力ですが」
 
 
ダグラス・レインのボトルデザインが変わって、
垂涎のレアモルトシリーズも本当に品薄になってしまって、
もう60年代のモルトのリリースなんて諦めていたのに、
蒸留所名の解らないスペイサイドモルトがある・・と言われれば、
迷わずオーダーするのは、馬鹿としては当然の事。
 
そしてそのモルトは、どうやらグレン・ファークラスという事なので、
もう、久々のお宝ゲット!・・・な気分でいっぱいなのだ。
 
 
「じゃぁ、開けましょう。」
 
「開けちゃうんですか?」
 
「飲む為に入れてもらった物、飲まないワケにはいかないでしょ」
 
 
まぁ・・・これも、お約束の会話だ。
 
新しいボトルが来れば、必ず開けて、その素性を探る。
そしてそのモルトが優秀であれば、
即座にもう一本オーダーするのは当然の成り行きなのだが、
得てしてそういう秀逸なモルトは、その一本限りである事が多い。
 
それでも、運が良ければ手に入るのだがら・・・・(^_^;
 
 
「凄いですね・・・この香り」
 
「開けただけで、ここまで来るという事は、期待できますね」
 
 
何とも言えない、甘い匂いが辺りに広がり、
グラスに注がれたこのモルトは、マッカランよりも濃い色をまとって、
香り豊に佇んでいる。
 
では・・・
 
 
 
 
え・・凄い・・・
 
 
いきなり、飲みやすい。
 
50%に調整されてるとは言え、
とにかく優しい感じが先に立つ。
 
 
そしてその味わいは・・・
 
 
少し酸味を帯びて、少し苦みもあって甘い・・・
 
でも、まだ、寝込んでいる。
 
 
「凄いよ、コレ。
 まだグーグー寝てるけど、それでも凄い。
 一杯飲んでみてよ」
 
「やはり、良いですか」
 
「うん、やっぱり60年代って・・・て言いたくなるほど、良いよ」
 
「じゃぁ、ちょっとだけ頂きます」
 
 
これも、いつもの儀式だ。
 
素晴らしくて、かつ二度と手に入りそうにないボトルを入れたら、
店のバーテンダーには必ず飲んでもらうのだ。
 
そのやり取りは一見無駄だったり嫌味だったりにも思えるが、違う。
 
酒は飲まないと語る事はできないし、
同じ酒を飲んでいれば、困った時に私の好みを熟知していてくれるワケだから、
結果的に良いボトルを探してもらえたり、
その時の気分に合うカクテルを作ってもらえたり・・と、
自分にとっても得する部分が多いのだ。
 
 
そして30分・・・
 
 
頑なだったその酒も、
横浜の風に目を覚まし、
味わいに奥行きを見せだした。
 
最初に飲んだ時は、少し枯れてる・・と感じたが、
何時までも味わいが残るようなアフターと、
ビターチョコレート、酸っぱくないオレンジ、
そして最後は様々なクセが姿を消して繊細な甘さだけが舌に残る・・・
 
 
古いファークラスは、凄く美味い・・という体験があって、
ここでもまた、そんな記憶を確認するような味わいに出会う。
 
 
「やっぱり、凄いですね」
 
「うん。
 ちゃんと40年以上も生き残った酒だけあって、
 そうとうに元が良いんだろうね。」
 
「これを飲んじゃうと、やっぱり今のモルトは何だか違う気がしますね」
 
「困ったねぇ・・・
 もう、こうやって手に入る60年代は殆ど無くなった」
 
 
悲しいけど、昔の酒は美味い。
 
今、凄い技術で、昔の物より美味しいとされる酒も造られているけど、
飲み比べると、歴然と差がある事がわかってしまう。
 
だからやっぱり、そんな年代の酒を見たら、
意地でも手に入れよう・・・と思ってしまうのだろう。
 
 
しかし・・・
つくづく馬鹿・・・ですなぁ(/–)/

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