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2010-07-11

どこへ行くんだろうね

 
 
     人生は、
     何処へ行くかわからない電車に
     乗っているようなもの。
 
     終点は決まっているけど、
     それが何処にあるのかはわからないまま、
     電車に乗って旅をするようなものだろう。
 
 
     電車が駅に着けば、
     誰かが降り、誰かが乗ってくる。
 
     ある時は他の客が一斉に降りてしまったり、
     ある時はもの凄いラッシュになったりして、
     同じ車内とは思えない変化があったりするけど、
     何回かそういう経験をすれば、慣れてしまうらしい。
 
     その都度、その変化を楽しむ事で、
     退屈なこの行為を、飽きずに続けていけるのだろう。
 
     そして今は、
     殆ど人が乗ってない車両にポツンと独りで座っていて、
     電車はひたすら走り続けている事だけが、わかっていた。
 
 
     次の駅に着いたら降りてみようかな。
     そうしたら、この孤独な旅は終わるのだろうか。
 
 
 
      「あの・・・
       すいません」
 
 
      突然、声をかけられた。
 
      え?
      誰も乗ってなかったよ・・ね?
 
      見れば、細面の女性が、
      少しだけ思い詰めたような表情を浮かべて立っている。
 
 
      「よかったら、隣に座っていいですか?」
 
      「えぇ、どうぞ」
 
      「よかった・・・
       なんだか寂しくて」
 
      「そうですね。
       私も、一人きりで乗っていて、寂しく思ってました。」
 
 
 
      彼女は、前の駅で降りたのに、
      反対側のホームに滑り込んだこの電車に、
      無意識に飛び乗ってしまった、と言った。
 
 
      「そしたら、誰も乗っていなかった・・・と?」
 
      「いいえ。
       何人か乗客がいるのは見えていて・・・」
 
 
      え?
      誰か他に乗ってる??
 
      慌てて左右を見回すと、
      確かにポツリポツリと乗客がいるのが見えた。
 
 
      「ホントだ・・・
       何故か、見えなかった」
 
      「見ようとしなかっただけですよね?」
 
      「そう・・かもしれない。」
 
 
      他の存在を見ようとしなければ
      何かの存在を認めようとしなければ
      孤独を遠ざける事もまた、不可能となるだろう。
 
 
      「あの・・・
       座っていいです、よね?」
 
      「あぁ、どうぞどうぞ」
 
 
      彼女は表情を作らずに、私の隣に座る。
 
 
      「本当は、誰に座って欲しいんですか?」
 
      「え?」
 
      「だって
       ちょっと違う・・・って顔をしましたよ?」
 
      「そんな事は・・・」
 
 
      そんな事は・・・
 
      そんな事は・・・・・
 
 
 
      あるな。
 
 
      隣に座って欲しい人は、
      ちゃんといるな。
 
 
 
     ・・と思ったら、目が覚めた。
     居間のフローリングの上で。
 
     これやっちゃうと・・・
     身体が痛むんだよなぁ・・・(^_^;
 

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