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2006-04-14

富士山嶺18年

「今,フェアをやってるんですけど,飲みますか?」
 
「え?」
 
「こちらですが。」
 
「え~? よく手に入ったねぇ」
 
 
バーテンダーが出してくれたのは,
キリンが作るモルト,「富士山嶺18年」(43%)だった。
 
 
「どうなの?」
 
「美味しいです」
 
「安い方は飲んだ事があるけど」
 
「どうですか?」
 
「値段の割には美味いと思ったけど,
 まぁ,国産のウィスキーって感じだったよ」
 
「じゃぁ,こちらは驚くかも知れません」
 
 
そこまで言われれば,飲むでしょ(^_^;)
 
テイスティンググラスに注いでもらった18年は,
加水された43%のモルトだが,足もそこそこ出る良い姿をしていた。
 
まず一口
 
え?
嘘??
 
瓶半分ほどになっていたそれは,すでに有る程度開いている状況ではあるが,
いきなり飲んでみると,おそろしく柔らかい口当たりがある。
 
勿論,注いだばかりではフェノール臭があって,
このトップノートを飛ばさないと辛いのだが,
それを割り引いてもかなりのバランスを見せた。
 
5分放置した後,飲んでみる。
 
柔らかさの中に,若干のバニラ,柑橘系の香り,ほんの少しの焦げた香り・・・
 
15000円という上代が,その出来をアピールしているとは思ったが,
ここまでマトモだとは想像もしていなかった。
 
 
「バーボン樽,バッティングモルトの中にあるかもね。」
 
「一応,ジャパニーズ・オークと聞いています」
 
「ミズナラかい?」
 
「さぁ・・・(^_^;)」
 
 
10分経ってからは,木材からでるような香りが増し,
当初にあったバランスが崩れだす。
 
酸っぱさに似た果実味に近い味わいと,木の個性が立ってきて,
それを味わっているうちに,眉間から上がフワフワと酔いだした。
 
 
「これ,いいかもね。
 でも私の身体には合わない成分がある。」
 
「人気は高いですよ」
 
「うん,売れると思う。
 下手なブランド物よりよっぽど美味いし,
 乱暴にすいすい飲むにはちょうど良いかもね」
 
 
キリンが御殿場で仕込んでいたモルトは,
ただならぬポテンシャルを持っていた。
 
最近の国産ウィスキーには,こういった良いモルトもある・・と
認識はしていたのだが,正直言って驚きと喜びを感じている。
 
ただ,コストが高い。
 
そのコストとパフォーマンスを比べると,
まだまだスコッチには距離があるように思えてならない。
 
むやみに高価にしているのでは無い事もわからないではないが,
そこら辺,どうにか頑張ってもらえないものだろうか?
>大手国産メーカー殿

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