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アルペンジローのステーキカレー

スープのようなカレーは
日本においてはインド料理店でしか食べられなかった時代があったが、
北海道からスープカレーが広まって、その形態は珍しくはなくなった。
 
だが横浜には、インドカリーでもスープカレーでもない
横浜オリジナルなカレーが20年も前から存在していた。
 
独特の味わいと、具材の美味さ。
そしてボリュームと全てが楽しかったのだが、
一時期、もの凄い不況が始まった頃に質が落ちていた。
 
たまたま、コックの問題もあったのだろうけど、
あのカレーが食べたいと思って行った気分は
見事に潰れた事を思いだす。
 
 
 
 「あのさ、横浜のあのカレー食べたいんだけどさ。」
 
 「う〜ん、勧めないなぁ」
 
 「何でよ?」
 
 「なんかねぇ、味が薄っぺらくなっちゃってねぇ」
 
 「何時から?」
 
 「2009年に行った時がそうで、それから行ってない。」
 
 「生き残ってるんだろ?その店。」
 
 「あぁ・・・」
 
 「じゃぁ、生き残る理由を味わいに行こうぜ。」
 
 
 
友達のオーダーで、
久々に訪れた店の名は「アルペンジロー」 
 
中区の弥生町で、
相変わらずの営業を行っていた。
  
 

 
 
 
 「あれ?メニュー減ってる??」
 
 「え?そう?」
 
 「うん、そんな感じがするな。」
 
 
そんな風に言われてマジマジとメニューを見れば、
確かにこんなに料理が少なかったっけ?
と思うような感じがする。
 
そう言えば以前は、変わり種のカレーも多くあったし
もっと酒の肴となるような料理が多くあったようにも感じる。
 
しかし私の目を引いたのは、
メニューの最初に書かれた店主の挨拶文で、
そこには「アルペンジローのカリーはスープカレーではありません」とあり、
しかもステーキにも自信があって、是非ステーキカレーを・・・とあったのだ。
  
 
へぇ〜
ここはカレー屋と言うよりも
ステーキ&カリーの店ってスタンスなんだ・・・ね。
 
じゃぁ、そのステーキカリーとやらを
食べてみるしかないね(^_^;
 
 
 
 「やっぱサーロインかな?」
 
 「いや、ヒレでしょ。」
 
 「そうかなぁ・・・」
 
 「俺はメニューにケンカ売られてるからヒレにするよ。」
 
 「そうだな。同じ物にするか。」
 
 

 
 
ステーキ用の肉としては、サーロインとヒレが用意されている。
 
サーロインは200グラムでも2300円とリーズナブルだが、
ヒレは国産黒毛和牛と銘打ち、120グラムでも3800円、
200グラムにすると5200円となる。
 
この価格設定を見たら、
サーロインには期待ができない事は明白だ。
 
オージービーフのグラスフェッドとまではいかないまでも、
ステーキを楽しむには・・・ね(^_^;
 
 
  
 「すいません、ヒレの160グラムを。」
 
 「あ、同じ物を。」
 
 「焼き加減はどういたしますか?」
 
 「お任せします。肉に合った焼き方で。」
 
 「わかりました。辛さはどういたしますか?」
 
 「天国で。」
 
 
 
ここのカレーの辛さは6段階。
 
マイルドの野毛山、スタンダードの富士山、
キリマンジャロ、アイガー、エベレストと辛くなり一番辛いのが天国なのだが、
以前はエベレストをオーダーしていて、その都度天国の辛さはどうなんだ?
と疑問に思っていたのだ。
 
 
 

 
 
 
お〜
なかなかの迫力ですな。
 
 
おや?
 
お???
 
 
なるほど、ここのステーキは、
それなりに美味い。
 
160グラムというワリにはかなりの塊で、
お任せした焼き方は見事なミディアムレアで、
柔らかさもジューシーさも損なわれないステーキになっている。
 
そしてその肉の美味さが、カレーの味わいに上手く乗る状態で、
何とも素敵なハーモニーになっていた。
 
 
 「あぁ・・、なるほど。」
 
 「うん、これは正解だったな。」
 
 「メニューの最初に、コレを食えって書くだけの事はあるね。」
 
 「これさ・・・、豚とか鶏とかにすると、ココまで美味くないかもな。」
 
 「そうだねぇ。」
 
 「だけどさ、天国って大した事ないね。」
 
 「うん、拍子抜けした・・・かな」
  
 
何となく、納得がいった。
 
以前食べてがっかりした時の味は、
薄っぺらくてただ塩辛い感じだった。

その記憶に照らし合わせると
今のカレーは往年の美味さを取り戻しつつあると感じられる。
 
でも、その時は豚で食べていたから、
その弱さが余計、前面に出ていたのではないか・・と思えるのだ。
 
ステーキとのバランスが取れている味付けだと、
他の具材では少し浅い味わいに感じられても、おかしくない。
 
 
 「やっぱりココまで来て、良かっただろ?」
 
 「あぁ、そうだね。」
 
 「俺には、無性に食べたいと思っていた味よりも良かったぜ?」
 
 「うん、美味かったよ。」
 
 

生き残るって、そういう事か。
 
あの時ダメだと思った味も、タマタマの事だったかも知れないけど、
ダメだった味を修正し、コスト戦争に打ち勝って生き残ったなら、
本当に食べて欲しい味わいをメニューのトップに書く気持ちは、よくわかる。
 
美味い物を食べさせたいから、コストがかかってもソレを用意する事は、
本当の腕を味わって欲しいからに他ならない。
 
ジャックスの小倉さんは、
ニューヨークカットを食べないでウチのステーキを判断しないで・・・
と私に説明してくれたが、
アルペンジローはメニューにその思いを載せたんだろうね。
 
 
 
 「たまには横浜に、カレーを食いに来るのもいいね。」
 
 「あれ、そう言えば・・・、何か話があるんじゃなかったっけ?」
 
 「あぁ。もう用事は済んだよ。」
 
 「何だ、そりゃ?」
 
 「お前が笑ってるから、それで良いよ。」
 
 
 
今日のカレーは、
何だか心まで温まる味わいだった。
 
ごちそうさまでした。 
 
 
 「アルペンジロー」
  045-261-4307
  横浜市中区弥生町3-26
  月曜定休(祝日の場合は営業し、翌日に振替)
  [火~金]11:00~15:00(L.O.14:30)17:00~22:00(L.O.21:30)
  [土・日・祝]11:30~15:00(L.O.14:30)17:30~22:00(L.O.21:30)

コメント:4

いしばし 11-12-03 (土) 23:22

食べ物屋さんって、むずかしいですよね、、、いろいろな意味で。

まぁまぁだな

と通い始めると、あるとき、『うん?』という味になって
どういうことよ!と、再確認に行ってみて、『あ~あ・・・』と
思った店は、皆なくなりました。

生き残ってる

確かにいろんな意味があるようですが、
それは、それはむずかしいようです。

自分も生き残ろう(爆)

某若 11-12-04 (日) 9:50

生き残るってきっと、
外してはならない線を守ってるって事や
日々精進し、臨機応変に進化している、という事でしょう。
 
今のベストを出しても、明日のベストにはならないと知っていれば
続けてきた経験の重みは何にも換えられない宝であり力だと
理解できる。
 
私ははやっぱり経験でしか物を言えないから
日々の変化にシフトしていくのが大変です(^_^;

A10 11-12-13 (火) 12:29

写真をみたら食べたくなりました(笑)
(昨年、触発されてニューヨークカットを食べましたがうまかった・・・またガツガツ食べたい)
 
「うまいものを食べさせてくれる店が少ないのは、日々精進している店が少ないから」と思いますが
日々精進って難しいですね、わが身を省みます。

bowjack 11-12-13 (火) 14:09

カレーと思うと高いコストですが、
和牛ステーキをカレーソースで食べると思えば、
値段は納得できる感じです。
 
しかも160グラムのヒレが、想像以上に大きな塊で
結構楽しめましたから、チャンスがあったら是非(^_^)
 
ただ、ソースの味わいから想像すると、
他の物は難しいかも。
 
ちゃんと生き残れるレベルはあると思いますけど、
これを食べちゃうと、次に別の物は食べる気がしませんが(^_^;

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