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原風景

 「ねぇ、正直に言っていい?」

 

 「うん、何?」

 

 「貴方の香港の写真って、あまり好きじゃなかったの。

  だけど、今回見てわかった事があるの」

 

 

 え・・・?

 そうだった??

 

 私の写真は、その時感じた物を、

 意識しないで自然に撮る・・という物で、

 特に計算して撮るような物は無いから、

 撮る場所で、そんなに変わる・・なんて思えなかった・

 

 

 「好きじゃないって言うより、解らない・・というか、

  すんなり入ってこなくて、良いなって思えなかったのが正直なところなの」

 

 「へぇ・・・そうなんだ」

 

 「でもね。

  今回載せた物を見た、というか、書いてる事を読んで、気付いた。

  『元気をもらう』っていう言い方と風景を見て、

  貴方は、貴方が大好きな時代の横浜を、香港に感じているのだ・・って」

 

 

 衝撃的だった。

 

 自分では無意識に感じて、

 素直にその時の自分を映すように時間と空気を切り取っただけだったのに、

 無意識に求めている事は、もっとも横浜らしい空気だった・・という事に、

 自分自身が気付いていなかったのだ。

 

 自分が体験した事だけが、信じられる事。

 

 常識なんて通用しない特殊な環境の中で生きる事は、

 全てが自分の判断に委ねられる事。

 

 知ったかぶったカッコだけの情報通が何か言おうとも、

 ハッタリで飾った偽物が何を言おうとも、

 本物しか生き抜けない町だった横浜で生きる人達は、

 惑わされる事は無い。

 

 習慣も常識も違う人達が一緒に生きる街では、

 その人自身の力しか頼るものが無いのは、誰でも知っていた事だった。

 

 

 「そうか・・・

  俺って浜っ子だったんだ」

 

 「そうみたいね。

  それも古いタイプの・・」

 

 「あぁ・・・

  どうせジジイだよ」

 

 

 自分を常に客観視しようとしていても、

 こうやって第3者的な視点で指摘されると、まだまだだ・・と思う。

 

 だからこそ、誰かと会って話をする事は大切だし、

 自分の吐き出した物に対する評価は、例え耳が痛い指摘であっても

 それを聞かせてもらえる事にすごく感謝するし、貴重な声として

 大事にする事なのだ。

 

 

 とにかく、

 自分が求めている空気は、

 急速に失われつつある、横浜らしい空気だとわかってしまった。

 

 という事で、そのテーマに引きずられない程度に、

 そういう風景を切り取ってみよう・・と思う。

コメント:2

おやじ 08-04-03 (木) 3:31

あまりに心を揺さぶられるお話に
熱いものが込み上げて来ました。
これからも頑張って下さい。

某若 08-04-03 (木) 18:37

m(__)m

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