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2014-11-25

50th

「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」
と謡い舞ったとされる信長。
 
幸若舞の「敦盛」の一節だが、
人生は短く儚く、人間は必ず死ぬ運命にある事を敢えて謡い
桶狭間の戦いに赴いたのはあまりに有名である。
 
 
我がクラブは
50周年を迎えている。
 
信長から見れば、一生の長さを持った
モーターサイクルクラブなのだろう。
 
それはある意味奇跡で、
その存在は既に伝説の域に達しているのかも知れない。

 
8468
 
 
「失礼ですが、背中を撮影させてもらっても、よろしいでしょうか?」
 
 
突然、街中で声をかけられた。
瞬間的に応える。
 
 
「だめです。
 申し訳ありませんが、許可できません」
 
「わかりました。
 ずっと憧れていたのです。
 本物を見る事が初めてでしたので、失礼を承知でお願いしました。
 でも、見る事ができただけで幸せです。」
 
 
そう私に声をかけたのは
まだ若い空気を持つごく普通の男性だった。
 
正直、驚いた。

でもそうやって、
我がクラブは今の時代でも
誰かの心の中に存在しているという事を
知らされる。

その日は兄弟達が集った日であり、
私は傷む脚を持て余しながら燃料切れとなった身体に
アルコールと炭水化物をぶち込んだ後、
帰宅する最中の事だった。
 
だから正装でいたのだけど、
そんな日にそんな声がけがある事は
50年続いた歴史の重さの証明でもあるな・・・
と感じている。
 
 
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考えてみれば、本格的にクラブに関わってから
既に30年以上の月日が過ぎた。
 
仕事の関係から、人が寝ているような頃とか
普通の人が生業に時間を取られているような頃にクラブに顔を出していて、
顔を出す度に違う世界の空気を吸い込み、
その都度、それまで自分が培ってきた感覚を破壊され、
自分らしく生きる事の大切さと難しさを理解させられ、
そして、自分らしく生きる事を実践する道を選ぶようになっていく。
 

そりゃぁ、色々な事があったよ。
 
数多くの「出会い」と「別れ」が。
 
そのどれもが大切で重く、
必然で不可欠なモノだった。
 
それらは心に小さな傷をつけ
時には穴を開けたり、
時には傷を埋めたりもして
今の生き方が形成された事は、理解できている。
 
そしてそんな社会の中に生きられた事を
幸せと言う以外に、選ぶべき言葉は見つからない。
 
 
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最近、言葉を紡ぐより
その場で感じた事を映像として切り取って
1枚の画像に作り上げたモノの方が
自分の感じたものをストレートに表現できる事に気づいている。
 
だから、以前ほどこうやって書く事は少なくなったけど、
自分の中では「一時の傾向」だという事もわかっている。
 
画像より文章の方が自分らしい表現ができる時期と、
今の様に画像の方が自分らしい時期というのが、あるからだ。
 
という事で、クラブの公式行事は、
大将の許可が出たらアップしたいと思っている。
 
一つの時代に区切りがついて
新たな時代を迎える時に立ち会えた事は
とても嬉しい。
 
そしてその区切りの中の1シーンを切り取る事ができた事は
望外の幸せだ。
 
 
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信長が舞った「敦盛:人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」
の一節には、続きがある。
 
 「一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
  これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ」
 
意訳すればこうなる。
 
 「人生50年の歳月は、下天(六欲天最下位の世)の1日にしかあたらず、
  夢、幻と同じで短く儚いものである。
  生まれた者で死なない者はいない。
  これを悟りの知恵と見て、仏の定めと理解できなければ
  悔しい人生を過ごす事になろう。」
 
我がクラブも、その存在をどう捉えるかで
メンバーそれぞれにとっての価値は、大きく変わるのだろう。
  
私にとっては、
なくてはならない存在、
背を向ける事ができない存在、
である事は言うまでもない。

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