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2013-11-19

大事にしたいこと

2786D
 
 
  「もう、来てるんだよな?」
 
  「あ・・えぇ・・」
 
  「出せよ。
   もったいぶらずにさ。」
 
  「解禁は木曜なので。」
 
  「去年も出してくれたじゃんかよ」
 
 
 そりゃね
 解禁と同時に飲むためには
 事前に店に入ってるのは、わかるよ。
 
 だけどさ。
 いかにも・・・な強面で、小さい店を切り盛りする主人に、
 全世界的なルールを曲げろと言うのは、どうなんだろうね。
 
 なんだか居たたまれない気分になって、
 店を出た。
 
 そう、
 明後日解禁となるボジョレーヌーボーを
 誰よりも早く味わいたいというワガママが
 そこにあったのだ。
 
 
 今年の葡萄のできを判断する、一つの物差しにも例えられる
 ボジョレーヌーボー。
 
 80年代頃から日本でも楽しむ人が増えていったと感じているけど
 当時イギリスで一本170円だったヌーボーが、成田で関税かけられて490円となって、
 同じ物を酒屋で見つけたら3000円だった・・という記憶もある。
 
 でも、それでも、
 解禁日にヌーボーを楽しむ事は、ちょっとしたイベントで、
 そんなイベントを理由にデートを企画するって野郎共も、多かったっけ。
 
 

2504D

 
 
  最近ね。
  いつも何かが足りないって、感じてる。
 
  大事にしているのに届かない、とか、
  わくわくできる「何か」に出会えないとか。
 
  いや、ひょっとしたら、
  自分はもう役目を終えてしまったのかもしれない、と、
  感じさせられるような「風」を、受けているからかも知れない。
 
  でも、それだけじゃない。
 
  信じていたことが違っていたり、
  大事にしたいことを無碍にされたり、
  という日常にも問題はある。
 
  そしてそんな時に、
  世界中のワイン好きが約束を守って同時に楽しもう、という気持ちを、
  暗黙の約束を大事にする「豊かさ」を享受しよう、という気持ちを、
  理解できない人が目の前にいたから・・・
  大事にできない人がいたから・・・
 
  残念な気持ちにさせられたんだと、思う。
 
   
  例えば、ブランド物を買う場合、
  正規代理店で買う事はその文化とサービスを買う、という意味があるのに、
  それを理解せず、安売り店でどれだけ安く買えたかを誇る人がいる。
 
  豊かさの象徴は豊かさの証だから、
  豊かな気持ちで楽しまないと意味が無い・・という事が
  理解できない人がいる。
 
  残念だよねって思ってしまうけど、
  豊かな気持ちは、単に裕福なだけでは育ちにくいもの。

  豊かな文化に触れて、学んで、
  自分の物として消化していく「時間」と、
  実際に楽しむ「行為」に裏付けられて、育っていくもの。
 
  それを理解するためには、
  やっぱり約束は守って、正統な形を尊重して、
  真っ当な道を歩いてみる事が必要なんだよね。
 
 
  今年のヌーボー
  どんな顔をしているんだろう。
 
  お約束の
  「今世紀、最高のでき」というコメントを
  微笑みつつ聞き流して、
  ゆるゆると飲めたら、楽しいだろうね。

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