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2009-11-29

残念

最近、コストダウン戦争が激化し、
外食産業は生き残りにあの手この手を考えても、
客はもの凄い勢いで減少方向に向いているように感じている。
 
そんな中、
良かった店が材料を落としてでもコストを下げ、
そんなやり方に嫌気がさした料理人やコストが高い料理人が店から消えて、
隠れた名店・・・だった店が尽くダメになっているように思う。
 
何故そう思うかと問われれば、
それはもう、日々、外で食いまくっている経験から、としか言えないのだけど、
材料を落とすだけで済まなかった店は、味が落ちた・・・
というレベルでは無いほど酷いものになっているからだ。
 
 
例えば横浜には
多分、横浜オリジナル・・と言っていいカレーを出す店がある。
 
スープカレーが横浜に訪れるずっと前からスープ状のカレーのみで勝負して、
市民権も名声もある店として今も認知されている。
 
しかし久々に訪れて、驚かされた。
何故なら、味もサービスも悪い冗談・・というレベルでダメになっていたからだ。
 
 
その日、会社のスタッフを引き連れて、その店を訪れた。
 
店はオープンキッチンスタイルのカウンター席(禁煙)と隣室のテーブル席(喫煙可)があり、
入口から入ると見えるカウンター席の向こうでは、いつも通りスタッフが調理を行っていた。
 
アテンダントは調理場が見えないテーブル席に我々を案内したが、
その時点で「あれ?」と思う事があった。
 
それは、テーブル席がある部屋にはそこそこ客がいて、
カウンター席には誰も座っていない事だった。
 
時間も早いので、
まぁ、これから客を受け入れていくのに、
外から席が空いているように見せたいのだろう・・と邪推しながら、
ビールとアテ(タコのチーズ焼き)、そして各々が好みのカレーをオーダーする。
 
程なくして、ビールが出てきて、
我々はよせばいいのに仕事の話などをしながら、
アテが出て来るのをまっていた。
 
 
出て・・・こない。
 
料理は順番で作るから、
テーブル席は結構混んでいるから、
我々の料理の番はなかなか回ってこないのだろう・・・
 
しかし、大きなグラスに入ったビールの泡が消え、
ちびちび飲んでも無くなってしまいそうになっても、
アテ(タコのチーズ焼き)が出てこない。
 
この時点では、客には最低ビールは二杯飲ませよう・・という作戦か?
と個人的に失礼な想像をしているに留まっていたのだが、
廻りのテーブルにはそこそこ料理が出て来るのに・・と不満も募ってしまう。
 
あの・・・?
と声を出そうと思った頃に、アテがやっと出てきた。
 
 
アテは、エスカルゴ用の皿にタコとチーズを入れて
オーブンで焼いた物。
 
そんなに時間がかかるものではないのだが、
オーブンの順番が遅かったのだろう・・と良い方に解釈しつつも、
もう一杯ビールを頼む気にはならなかった。
 
そう・・・
これだけ待たされたら、すぐカレーが出てくるはずで、
ビールでお腹を膨らましたら、美味しく頂けなくなる事はわかっていたからだ。
 
 
しかし・・・
あてが外れた。
 
料理を1度にオーダーしたのに、
ちっとも求めているカレーが出て来ないのだ。
 
 
 
この店のカレーは
具材をその都度料理してから、オリジナルカレーソースに合わせ、
その際に6段階ある辛さを調整しつつ軽く煮込んで作るもので、
ご飯も出来上がるタイミングを計って
飯ごうかテーブルにおける土鍋で炊くスタイルをとっている。
 
だから多少の時間がかかる事は理解しているし、
それゆえ最初からカレーもオーダーし、出て来るまでの時間を楽しむべく
ビールやアテを頼んだわけだ。
 
しかしその日は、
いつまで待てば良い・・・のか?
という怒りが湧き出す時間を明らかに通り越す気配が濃厚だった。
 
と・・・
アテンダントが「料理が遅れて申し訳無い」とエクスキューズを入れてきた。
 
で、気がついた。
 
調理場で何か手違いがあって、
まだ料理が出てきそうにない・・・事に。
 
 
 
ま・・
しょうがない。
 
そういう事もある。
 
それより、久々にここのカレーを堪能したい。
美味しく食べる為には、ここは怒らずに穏やかに・・・(^_^;
 
 
そんな気持ちを持ちつつ待っていて、
その後さらに2回、アテンダントの「申し訳無い」を聞かされたが、
スタッフと一緒という事もあって、待てない・・と席を立つような狼藉は働かずに
穏やかな心持ちで求めるカレーを大人しく待っていた。
 
 
「お待たせしました」
 
 
b1481-1
 
 
コレだよ、コレ!
 
 
この豪快なトッピングとさらさらのスープ状カレー。
 
飯ごうに入ったご飯を皿に移し、
具材も切り分けて、自分流にセッティングしてみた。
 
 
b1481-2
 
 
これが食べたかったんだよね(^_^)
 
いただきま〜す
 
 
 
 

あれ?
 
上から2番目の、
かなり辛いカレーをオーダーしたのに、
大して辛くないよ?
 
 
あれ??
なんか味が薄っぺらいよ????
 
 
「あの・・・
 コレ、ちょっと食べてみてください」
 
「何?」
 
「これ、普通の辛さなんですけど、
 なんだか前食べた時と全然違う・・・」
 
 
スタッフが普通の辛さのカレーを味見しろ・・と言うので、
手を出してみた。
 
 
 
何、これ?
なんか、味が壊れてる??
 
 
辛さの差はあまり無く、
そもそもカレーが妙に苦みがあって、
本来あるべき奥行きが感じられない・・・・(・_・、)
 
 
 
あ・・・
これか・・・
 
 
調理人の動きが丸見えのカウンター席に客を座らせないように、
テーブル席へと後から来た客もアテンドしている理由は。
 
 
 
待たされている苛々がその部屋を微妙に支配しているのに
アテンダントは、常連客のご機嫌取りでテーブル間を走り回って、
私達のように顔の売れていない客は放置されている。
 
そんな時、カウンター席に座っていれば、
調理風景その物を楽しめるので時間を感じないでいられるものなのだが、
この日は、その調理風景を見せたくない理由があった・・という事だろう。
 
 
料理の味は、
正直、コストパフォーマンスの悪い物だった。
 
味は取り立てて良いとも思えず、
ご飯はカレーには合わないベチャベチャに近い柔らかい炊きあがりで、
スタッフに出たカレーは、全部食べるに値しない物。
 
材料もコストから考えたらどうなんだろう・・・と思わせるレベルで、
カレーでなかったら誤魔化せない可能性も見えた。
 
 
ここもかよ・・・
という思いにさせられる。
 
そして、
当分、この店に行くのはやめよう・・という気持ちを持つ。
 
 
フレンドリーなサービスが嬉しくてたまに使っていた店が、
言葉巧みに高いワインを押しつけようとしたり、
味が良くて使っていた店が、思いっきり材料を落としてただの店になっていたり・・と
不景気の波は確実に外食産業を駆逐しているようだ。
 
昼食には弁当組が増え、ペットボトルの茶を飲むよりポットを・・とポット持参組も増え、
今や客単価500円以上の店は尽く客が減っている。
 
そんな状況を見ていると、
必要な所に必要なだけコストをかけないと根底から崩れる・・
という事を考える必要がある事を強く感じてしまう。
 
綺麗事が言えないほどの不況だから、
そんな戯れ言は一笑に付されるのがオチだが、
根底を崩しては身も蓋もない、
 
 
誠に残念ですが、
厳しい世の中になったものですね。

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