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2007-08-25

almost there

 
 
アドベッグの若いモルトのシリーズに
10年以下の熟成物がある。
  
VeryYoungに始まり、StillYoungと経てリリースされた一本は
Almost There。
 
それらは全て、TENに繋がる物として
6年熟成、8年熟成、9年熟成として登場した。
 
almost thereを直訳すると意味不明になりがちだが、
あとちょっとでTENになる・・と訳すのが一番正しいのは言うまでもない。
 
あと1年置けば、アドベッグとして、一番バランスのよい、らしいモルト「TEN」になる・・という意味と、
新生アドベッグが新しいモルトとして「TEN」をリリースできる・・という意味をかけているのだろう。
 
と、どうでもいい戯れ言を吐くよりもまずはテイスティングだ(^_^;)
 
 
VeryYoungが58.3%、StillYoungが56.2%とカスク物らしい強さを誇っていたが、
こいつは54.1%とエンジェルシェアの影響で少しばかり弱くなっている。
 
だが・・・
 
その味わいはそれでも強いと思えるカスクストレングスを感じさせない
柔らかで豊かな香りを持つ楽しい酒だった。
 
もちろん最初は、きついキックがあるが、
15分も置いておけば、アドベッグの持つ優しい甘さと決して消えないスモーキーフレーバーが、
実にバランス良く存在していて、アイラ好きとしては実に楽しい。
 
30分も置けば、
ブラインドで飲んだら、アイラはわかるけど結構熟成されたプレミアムなモルトだ・・・と
錯覚させるほどの優しさが増して、久々に楽しい一杯としてゆっくり酔う事ができた。
 
 
「どこかに丸瓶のマッカランあったら教えてください」
 
「え? 何故?」
 
「新しいマッカラン、シェリーカスクが亡無くなっちゃったんですよ。
 アメリカ向けの赤いラベルのカスクを久々に飲んだら良くて、
 ダメになってもまだ、マッカランだって言えるのは丸瓶かな・・・と」
 
「ちょっと・・・
 マッカランがシェリーやめたって、今のは全部ファインオークって事?」
 
「そうみたいですよ」
 
「ちょっと待ってよ、それじゃマッカランじゃないじゃん」
 
 
知らなかった。
マッカランがシェリーをやめていた・・なんて。
 
ファインオークの事は以前書いたが、
飲むと頭痛が発生するそいつは、邪推だがミズナラウィスキーと言ってもいい
サントリー独特の酔い心地が約束された、二度と飲みたくないマッカランだった。
 
それでもまだ、平たい瓶になった時期にはシェリーカスクを使用したマッカランもあって、
ソイツを飲めばまだマッカランだろう・・と想像していたが、
とうとうシェリー物が無くなってしまう・・とは思わなかった。
 
プレミアムな長期熟成物にはまだ、シェリー物が出る可能性はあるが、
その商売の仕方を見る限り、高くてマズイ酒である事は想像に難くない。
 
そんな折り、山崎のプライベートボトルに出会った事を思い出した。
 
 
「そう言えばさ、この間、山崎のプライベートボトルを飲んだよ」
 
「え?
 何年のですか?」
 
「1995年のシェリーカスクカスク」
 
「どうでした?」
 
「不思議なんだけど、悪い酔いしない・・っていうか、ミズナラカスクじゃないから、
 基本的に本物のモルトに近いわけで、サントリー頭痛は起きないんだけどね。」
 
「味は?」
 
「変化には乏しかったけど、マッカランそっくりで・・・
 でも、ちょっと酸味が強い感じがあったな。」
 
「プライベートカスクを買わないと手に入らないボトルですからねぇ・・」
 
「あ・・・もしかして・・・」
 
「え?」
 
 
恐ろしい仮説が浮かんでしまった。
 
マッカランがシェリーカスクを止めた事=山崎のマッカラン化
 
ではないか?・・・と。
 
 
「マッカランって自前でカスク作って、シェリー業者に使わせて、
 その樽の中で良い物だけを使って熟成してきたメーカーじゃん?
 それがマッカランの名声を支える大事な特徴でもあったのに、それを止めて・・・
 で、サントリーが山崎のプライベートカスクで簡単にシェリー樽を売り出しているって・・・
 マッカラン用の樽を全部、山崎用に取っちゃったんじゃないのかな?」
 
「あ・・・・
 あり得るかも。
 マッカランより山崎の方が高く売れるし・・・」
 
 
あくまで仮説です。
邪推です。
 
でも、ブランドの持つアイデンティティを捨てさせるだけの力を持つオーナー
サントリーの戦略を考えれば、高く酒を売る手段としてマッカランのブランドを使うより
山崎のブランドを使いたいのは想像に難くない。
 
明らかに日本のモルト単価より安くて美味いスコッチモルトの殆ど手中にしているサントリーなら、
世界のサントリーはモルトのロールスロイス「マッカラン」より美味いと言いたいだろうし、
言わせるだけの政治力も財力もあるワケで・・・
 
 
アドベッグの様なアイラ系の酒はウィスキーに慣れていない日本人には売れないから、
そういった戦略にのせられる事はないだろうが、スペイサイドやハイランド系は
サントリーの味付けにかぶる部分が多いので、こういった乱暴なやり方が今後増えない・・
とは言い切れない。
 
 
「響も賞を取ってたけど、中身って恐いよね」
 
「そうですね、実はスコッチも名醸酒がたっぷり入ってたりしてね」
 
「あり得る(^_^;
 山崎=マッカラン、響=バランタイン、なんて冗談も出るくらいだからね」
 
 
酒は文化。
 
その地で取れた材料とその地の環境で生まれ育ち、
その地ならでは完成形としてボトリングされる物であり、
飲み方も含めた文化を尊びながら、愛で、彼の地の風を感じる飲み物だ。
 
特にモルトのような混ぜ物が殆どない酒は、
そういうキャラクターがあって当然で、その価格は文化を飲む・・という観点で見れば、
決して高いものではない。
 
その文化をちゃっかり拝借するような事が、
企業にある・・とは思いたくないが・・・・
 
実際のところ、どうなんだろうねぇ・・・(/–)/

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