Home > 日記的雑感

日記的雑感 Archive

アドベッグ1996

ゴードン&マクファイル社のコニサーズチョイス・シリーズは秀逸だ。
 
外れ無し・・・とは言い切れないが、かなりの確率で面白いモルトに出会える。
 
今宵は「アドベッグ1996」に出会ったが、最初はその若さにちょっとだけ退きが入っていた。
 
 
「飲まず嫌いはいけないですよ」
 
「そうだよねぇ」
 
「ベリーヤングなんてキツイのも飲むんですから、
 飲んでから判断しましょう」
 
 
ゴードン&マクファイル社の持つアドベックは1996が最終という噂がある。
スピリット・オブ・スコットランドというシリーズでも96は出ているが、
王道をいくシリーズとして有名なのはコニサーズチョイス。
 
だから、96と言えども、侮れないはずだ。
 
 
口開けは・・・・
穏やか(^_^)
 
上質な古い酒にも似た、穏やかさと奥行きを見せる。
 
ど~れど~れ・・・とばかりに時間を置いてみると
穏やかに開いていく。
 
アドベッグらしいスモーキーなフレーバーに、適度な甘さ。
 
変化の幅は若さ故に狭いが、ちゃんとアドベックだ・・と自己主張してみせる。
 
う・・・・む
美味い、と言うより、優しい(^_^)
 
オフィシャルの10年物よりもはるかに穏やかでいて、
複雑な香りのそれぞれがしっかり顔を見せるような広がりがあって、
若さも充分に見せてくれる艶やかさ。
 
こんな酒がまだ5000円もしないで
店頭に並んでいるのだからたまらない。
 
アドベッグもフロアモルティングを止めてからすっかりイメージが変わってしまったが、
それでもラフロイグに比べたら華やかで複雑な楽しい物である事には変わりない。
 
しかしながら、1977を最後に一度閉鎖に追い込まれた結果、
どうしても今は、17年以上の良きモルトが存在しないのだ。
 
だから、ウーゲデールというバッティングモルトの存在価値も高いのだが、
どうしても存在を忘れられがちになるのだろう。
 
久々に、マトモなアドベッグに出会った感じがして、
少しだけ嬉しい気持ちを持てたのは言うまでもない。

ジャック・ター

横浜発のカクテルとして名を馳せた「ジャック・ター」(水夫)
 
ロンリコ151を使ってくれないとなんか間抜けな味になるのだが、
使うと当然の如く凄い強さの酒となる。
 
だが、カスクをニートで飲む事に慣れてしまうと、
これがち~っとも強い酒に感じられない。
 
同様に、ロングアイランド・アイスティーも、タダのロングドリンクにしか感じられなくて・・・
 
調子に乗ってコイツらをガバガバと飲んでしまったりする。
 
ウィスキーとは明らかに違う酔い。
 
頭がホワンとした、その場限りの酔いが襲い、
結構来るじゃん(^_^)・・・と楽しんでいると、
あっさりと酔いが消えていってしまう。
 
最近は寝酒に・・とそんなどこでもあるカクテルやテキーラのストレートを飲むのだが、
今来ている酔いを捕まえて寝てしまわないとすぐさままた目が覚めてしまう。
 
そういう意味では、ウィスキーの酔いって穏やかに強かに酔わせてくれるようで、
実に気持ち良いと身にしみて感じたりする。
 
マトモなモルトがどんどん無くなり、似て非なるたくさん飲めないモルトが増えてくると
ど~しても普通の酒場では酔うための飲み方になってしまう。
 
美味いジャック・ター・・・・飲んでないなぁ(/–)/

ポール・ジロー

「ちょっと面白いのが入ったんですけど飲みます?」
 
「そう言われて飲まないワケにはいかないでしょ」
 
 
いきなり勝負玉を投げてきたマスター
 
こっちがかなり変な物を好む事を知っていて、
自信ありげに出す酒はなんだろう?
 
 
「葡萄なんですが・・・・」
 
「何故2杯?」
 
「ポール・ジローとその仕込みに使った葡萄ジュースです」
 
「え?
 マジ??」
 
「たまたま、昨日ジュースが入荷したんですよ」
 
 
ポール・ジローとは、1650年からグランドシャンパニュ地方の東、
ブートヴィル村で葡萄造りを行ってきたメーカーで、
1970年代からは、蒸留、熟成まで自分達で手がけていて、
所謂大メーカーが作るブランデーとは2味くらい違う美味しさを持っているメジャーな酒。
 
 
ポールジロー15年・ヴィエイユレゼルブ40%
ポールジロースパークリンググレープジュース
 
 
以前からマスターから聞いていた贅沢な飲み方。
モルトを飲む時、仕込み水チェイサーにするのと同様に、
ブランデーを楽しむ時、チェイサーに仕込み水ならぬジュースをチェイサーにする・・・
 
そんな楽しみ方をできる「ポール・ジロー」は今年もそのジュースを販売してくれたのだ。
 
 
たまたま、入荷した翌日に顔を出した幸運は、
間違いなくこの飲み方をしろ・・・という事なのだろう。
 
マスターも量が少ないジュースをここぞとばかりに提供してくれて、
果実味と香りに溢れるコンビネーションを堪能した事は言うまでもない。
 
 
「この次は何を飲めって言うんですか?」
 
「甘いまま、楽しまれます?」
 
「今日の感じは、無骨よりエレガントで・・」
 
「では、デュポンのカルバドスはいかがですか?」
 
 
カルバドス・・・・
 
こいつはさらにくせ者だ。
間違いなくやられちゃうのは目に見えている。
 
 
「果実系の優しい酔い心地を楽しむには、
 これも良いですよ」
 
「はい、知ってます。
 幸せな気持ちに溶けちゃうかも知れませんが、いただきます」
 
 
その後・・・・
さらにリキュール系に流れて、フワフワのまま帰路についたのだが・・・
 
よく覚えていないのは何故だろう?(/–)/

ヘーゼルバーン

キャンベルタウンモルトと言えば、「スプリングバンク」
 
スプリングバンクは、麦芽を全て自分のところでフロアモルティングする珍しい蒸留所で
初溜釜は石炭での直焚きする製法が独特の個性を作り上げている。
 
薫り高きこのモルトの兄弟としてリリースされているのが「ロングロウ」だが、
その味わいはピートが強いアイラにも似た個性と、2回蒸留の作り方から生まれるボディの厚みやオイリーさが
飲み応え有る逸品としてモルト馬鹿の心をくすぐるのは周知の事実だ。
 
そんな中リリースされたのが「ヘーゼルバーン」だが、
これはローランドモルトと同じ3回蒸留でしかもピートを一切炊かない製法で作られている。
 
 
「ヘーゼルバーンがあるんですけど、飲まれます?」
 
「めずらしいね」
 
「3回蒸留なんで優しいかもしれないですけど」
 
「飲んだ事ないから、飲むでしょ。」
 
 
ケルティッククロス ヘーゼルバーン1997 7年 46%
 
 
3回蒸留というわりには力強いキックがあり、
最初のうちは舌の根本にピリピリとした刺激が伴う若き酒独特の個性がある。
 
いつも通り時間をかけていくと、その冷たい反応は徐々に和らぎ、
柔らかく穏やかな顔を見せだした。
 
 
「ロングロウとはうって変わった酒だね」
 
「自分の所で全部やれちゃう蒸留所ならでは挑戦、という感じですね」
 
「スコッチモルト販売って珍しいね」
 
「自社で樽買いして詰めてるようですが、結構良い酒があるんですよ」
 
「そこに並んでるのは・・・多いね(^_^)」
 
「えぇ、後でたっぷりと出しますから」
 
 
30分を過ぎた頃から、ナッツのような香りとちょっとスパイシーなアクセントが強くなり、
甘さはほどほどに口の中を刺激するようになってきた。
 
 
「結構、いいかも」
 
 
「じゃこちらはどうですか?
 レダイグの1992なんですけど・・・」
 
「これまた珍しい」
 
「若い割には、良いですよ。
 でも、順番逆かも・・・」
 
「若いモルトでマトモと聞けば、飲まずにはいられない」
 
 
失敗した(^_^;)
 
確かに順番が逆で、ヘーゼルバーンにくらべると個性に乏しく
ただ優しいモルトにしか感じられないレダイグ。
 
しかし、97年や92年の酒として飲んでみれば、
どちらもかなりの素晴らしさがあって、ちゃんと探せば美味しいモルトも
まだまだあるんだな・・・と嬉しくなる。
 
 
「あの・・・81年のブローラがあるんでけど。
 シェリー樽ですが」
 
「え?早く言ってよ」
 
 
こうやって馬鹿の夜は更けていく(/–)/

ヴォーヌ・ロマネ

ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村とジュブレ・シャンベルタン村は、
代表的なワインの産地と言っていい。
 
そのヴォーヌ・ロマネ村は、ふざけるな・・と言いたくなるほど高いワイン
「ロマネ・コンティ」を生み出す村、と言えば、ワインを知らない人でも名前くらい聞いた事があると思う。
 
昨晩の打ち上げの時、実はそのヴォーヌ・ロマネという村名ワインを
こっそりと開けてほんの少しずつ皆に振る舞った。
 
 
「え?」
「何コレ?」
「これが赤?」
「うめぇ・・・」
 
 
ワインと聞いただけでそっぽを向く人達は置いておいて、
興味を示した人達は異口同音に絶賛する。
 
そりゃ、そうだ。
なんたってこのワインは、神様アンリ・ジャイエの畑で
甥のエマニュエル・ルジェが作ったワインなのだ。
 
もちろん、一級畑のクロパラントゥーなんて代物じゃないが、
それでも半端じゃなく美味しいのは確約された物。
 
ピノ・ノワールという葡萄を使ったワインとしては世界で1番美味しいと言っていいくらいの
村名ワインの中でも、別格扱いの代物だ。
 
今回飲んだのは
「ヴォーヌ・ロマネ」2002 エマニュエル・ルジェ
 
日頃当たり前に「ラ・ターシュ」やら「リシュブール」あたりを飲んでいる人にとっては
平凡な味に感じるかも知れないが、
間違いなくごく普通の人が飲んだら美味しいと感じる1本だと思う。
 
勿論、ちゃんとしたブルゴーニュグラスが用意できるわけではないが、
それなりの大きめのグラス(ボルドータイプ)を用意したところ、
特にワインが好きな人達が若干集まってコソコソとワイン談義が始まってしまった。
 
 
「思ったよりも、複雑だしプラム・・・ナッツ・・・もあるかなぁ」
 
「フランボワーズ? 革までいかないけど樽の香り・・・」
 
「いやぁ・・・美味いなぁ・・」
 
 
ブルゴーニュは開くのに時間がかかるが、2002だとさらに若さもあるため
やっぱりモルトと同じで1時間位はかけたい物。
 
それなのに、とにかく美味しくてついつい舐めてしまって、
開ききるまで置いておけなかったりする(爆)
 
クリスマスにとっておきの一本を飲もうと考えている人には、
このルジェの「ヴォーヌ・ロマネ」がオススメだ。
 
値段?
多分1万5千円以下で買えるはず。
 
しかし・・・・
ワインって美味しいけど、マジに高いなぁ(/–)/

ホーム > 日記的雑感

検索
フィード
メタ情報

Return to page top