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6年

職場で黙祷をした。
 
あの日を思い出す。
 
仕事でパートナー企業と
険悪な空気さえ纏いながら会議をしていた時、
あの地震がやってきた。
 
揺れは長かったけど、
交通機関は復活するだろうと楽観し、
開かなくなったドアを突破したり、
落ちた諸々の物を片付けたりしながら、テレビ中継を見る。
 
映画のような津波の映像が繰り返し流され、
凄い事態になった事だけは理解したけど、
とにかくこっちは、客を帰す業務に走り回る。
 
そして客が全部帰って、
事務所もあらかた片付いたところで会社を出ると、
交通が完全に麻痺していた。
 

 
いや、交通だけじゃない。
携帯もパンク。
 
行き場の無い人達が、飲食店で順番に食事を摂り、
繋がらない携帯で、何度も連絡を取ろうと足掻いている。
 
 

 
 
徒歩で帰宅する人。
自転車屋に飛び込んで自転車でピストン運送をした人。
帰るのを諦めて、駅の通路に座り込む人。
 
頭の中で、繰り返し流された津波の映像が浮かびあがり、
混乱を極める駅前の写真を一枚撮った時、
身体が震えて止まらなかった事を、思い出した。
 
地震国に生まれて、
逃げられない事はわかっているけど、
だからこそ、皆で支え合う気持ちが大切だと、
今更ながらに思う。
 
誰かを支えることは、自分を支えること。
 
生きていることに意味なんて無いけど、
社会の一員として生きている以上、
誰かを支え、誰かに支えられて、生きているのは間違いない。
 
ただあの日、
仕事で厳しい論戦を交わしていたパートナーの一人が、
既に国替えをしている事実に、時の流れの早さを感じてしまう。
 
 
 
 
 
もう6年。
まだ6年。
 
でも、6年後、
自分はまだ、
こうやって生きているのだろうか?
 
そんな事を考えながら、
今日も客が入る施設で仕事をしている。

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