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知覧

毎年夏は、戦争の事を考える旅を重ねてきたが、
今年は知覧へと思っていた。
 
1度は行ってこい、と言われていた知覧。
 
神風と言われた海軍特別攻撃隊ではなく
陸軍の特別攻撃隊基地である。
 
去年は長崎から足を伸ばそうと思ったりもしたが
早朝に出ても、滞在時間が短くなるので断念。
 
だから余計行きたくなっていたのだと、思う。
 
 
41748
 
 
徳川時代に一国一城と決められていたから、薩摩藩は鶴丸城を内城にし、
領内に113の外城を造って防衛を図ったと言うが、その中の一つが知覧だった。 
 
そんな歴史的な事も知らずに訪れた私は、こんな場所に何故ここまでまちゃんとした街があるのか
まずは驚いてしまったのだが、そんな外城に軍が入ったのは、
大陸に近い場所である事も含めて色々な条件が揃っていたからなのだろう、と想像する事はできた。
 
 
5083Dcm
  
 
「街全体が、慰霊する気持ちに溢れている」と以前に行った友人が言っていたけど、
確かに特攻平和会館へ向かう道には慰霊のために献燈された石灯籠が並んでいた。
 
そしてその灯籠には、出撃された方々の像が掘られていた。
 
 
5092Dcm

 
当初は、出撃され戦死された1036名分の灯籠を寄贈により設置されたが、
その後も寄贈の希望が多くあったため、寄贈の受付が再開され現在も数は増えていると聞く。
 
これは生半可な気持ちで訪れるわけにはいかないな・・と思うと同時に
何故か、怖さよりももっと温かい気持ちが溢れているような
不思議な感覚に陥った。
 
とにかく
穏やかな空気が流れている。
 
違和感無く・・・
  
 
5103Dcm
 
 
隼の実物大模型を見ても、特に心が揺れる事も無かったのだが、
特攻平和会館に入ると空気はがらりと変わる。
 
悲惨さや無念さがあるわけではない。
だが、そこには出撃し戦死された方々全員の写真と
遺書があった。
 
 
正直言って、遺書の内容等はある程度知識として持っている。
 
多くの制作者が、その事実を何とか形にしようと、
様々な方法で作品に仕上げてきた事も知っている。
 
その時代の考え方や戦況、
そういった時代背景も知識としては持っていた。
 
だが・・・
 
そこに並ぶ、まだあどけない顔つきの人達の写真が、
家族に宛てて書いた遺書の文字が、
その時の思いを伝えてきた。
 
 
頭を殴られた気が、した。
自然に涙が、溢れた。
 
そこにある覚悟に、
どれほどの重さがあるかが、
心に直に染み込んでくる。
 
 
だから、
ここへ来ないと
わからないのか・・・
 
活字で見る言葉より
肉筆で書かれた言葉の方が
どんなにリアルに思いを伝えるのか、
思い知らされた気持ちになった。

平和会館の展示物は撮影不可なので紹介する事はできないが、
そこまで足を伸ばし、ちゃんと対峙する意味の方が大きい。
 
戦争の空しさ、命の大切さ、
平和の有り難さを、ちゃんと考えるためにも
ここへ来る意義は大きかった。
 
 
5125Dcm
 
 
知覧へ来るもう一つの目的は
鳥濱トメさんだった。
 
特攻隊員の母親代わりとして語られる彼女がいた富屋食堂が復元されているので、
この目で見たいと思っていた。
 
店は資料館となっていて、
彼女から見た特攻隊員の姿が表現されている。
 
その資料の中には、平和会館で見た物もあったが
さらにリアルな感情を表現するものとなっていて
生きている意味を考えるよう、
彼女が諭しているようなスタンスが見えた。
 
 
生きているのは
なにかを成すための役割があるから。
 
だんだん、役目が外れていくように感じる日々を生きているけど、
お役御免と態度に示される事も多いけど、
それでも命があるのなら、別の役目が待っているのだろう。
 
自分の思いよりも
命有る限り全うすべき役目の方が重いなら
その役目を果たす事が大事なのか。
 
そんな事を考えさせられた、知覧。
 
来るべき場所、
来るべき時だったと、
いう事らしい。

コメント:4

みにゃー 14-07-27 (日) 22:20

感じることや思うことは人それぞれ、ですね。
私は私なりの思いもあって毎年参ってます。
そしてこれからもそうするつもりです。
一時だけのえぇかっこしぃで終わるつもりがないので。

bowjack 14-07-28 (月) 7:43

今の日本を考えるとき、多くの犠牲によって今がある事を意識しないと、
浅はかな考えに支配されそうになる自分がいます。
 
広島も長崎も、そしてこの知覧でも、
共通して感じる事は「今を感謝しよう」という思い。
そして、自分でできる事を、自分なりにしないと
申し訳無いと思う気持ち。
 
そんな事もあって
出かけています。
 
感謝を忘れる社会に
幸せな未来は訪れない。
 
そう思うからこそ
感謝を忘れがちな日々を反省するためにも
この旅を続けていくのだろうと、思います。

ザキヤマ 14-07-28 (月) 9:54

平和ボケの人は、一度はここや太刀洗の平和記念館へ行って、
何かを感じて考えてほしいものですね。
こういうものなどに目を背け、嫌がる人たちが周りにも大勢いますが、
自分は訪れるたびに、大いに平和について、考えさせられます。
先人の想いを知り、涙をぬぐい、感謝の念しかありません。

いしばし 14-07-28 (月) 11:02

声をかけていただくことがあるのですが、

福岡出身で、戦後20年に生まれた僕には
直接知らないにしても、まわりに経験された方が多くいたために
そこに、触れ対峙する覚悟がいまだ持てずに今に至っています。

いつかは、、、と

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