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ロイヤル・ロッホナガー

「仕事に一区切りがついて新たな仕事が始まる記念に,
 何か特別なモルトを飲みたいんだけど?」
 
「特別のですか・・・」
 
「ありそうで無いヤツ。
 優しくて,一杯飲めただけで幸せになれる・・・」
 
「難しいですね。
 アイラとかスペイサイドとかの好みはございますか?」
 
「特に・・・
 でも,アイラじゃなくてハイランドかスペイサイドかな」
 
「例えば,あれを飲みたかったけど・・という物が,過去ございましたか?」
 
「そりゃ,たくさんあるけど・・・
 ここなら,若くて手の届かなかったモルトが・・あった」
 
「じゃ,それにしましょう。」
 
 
そんなやりとりをバーテンダーとしたのは1ヶ月以上前の事。
 
そして私が頼んだのは,
まだモルト馬鹿になりきれていなかった時代に手が出なかったモルトで・・・
 
ロイヤル・ロッホナガー セレクテッド・リザーブ
 
だった。
 
 
「入ってますよ」
 
「お? よくあったねぇ」
 
「元々数が少ないので,オーダーしないと来ませんでした」
 
「そうなんだ・・・」
 
 
普通のロッホナガーやレアモルトシリーズのロッホナガーは見る事もあるが,
セレクテッド・リザーブはここ数年見た事がなかった。
 
高価である事と人気の無い(というか知られていない?)せいで,
販売店でも仕入れないのだろう。
 
もちろん私も,この酒を飲む事は,初めてだ。
 
 
ヒュミドールにしようかな・・・と思う位綺麗な木箱に入ったそれは
開けずにとっておきたいほどの魅力を携えて微笑んでいる。
 
もちろん口を開けないなんて馬鹿な事ができるわけもなく,
記念すべき初めての会話を楽しむ事にした。
 
 
濃い琥珀色。
 
香りは甘く,グラスの周り50センチ以上にその存在をアピールする。
 
まずは一口・・・
 
キックは思ったより強く,濃い味わいの中にハイランドらしい・・
と言うかスコッチらしい個性を見せる。
 
最初の味わいは,ダルウィニー15年かホワイトラベルのアンシェスターのようだ。
 
そしてじっくり時間をかけていくと・・・
 
15分でまず鼻を差すような刺激的な香りが飛び,
さっきまでよく磨かれた家具のような固さを帯びた感触が,
上質な毛布のような柔らかさに変化している事に気が付いた。
 
有りすぎる・・と思ったボディも適度な太さに変化し,
最初はきっちり着付けされた和服の女性だったようなこいつが,
いつの間にか浴衣に着替えているような錯覚さえ感じる。
 
そして30分を過ぎ,45分を迎えようとする頃,
さらに大きな変化が訪れた。
 
最初は少し柑橘系の甘さを持っていたロッホナガーだったが,
上質な蜂蜜,すこし焦げた砂糖を入れすぎたトースト,
そして何かの花の花粉・・・
 
勿論,複雑で楽しい味わいだけが変化じゃない。
 
一番驚かされたのは,その柔らかさだ。
 
どこまでどこまでも柔らかく,
それこそカシミアのような柔らかさと気持ちよさがある。
 
口に含んでから飲み干すまでの間に,
するする・・・と広がって柔らかい味わいがどんどん広がって,
いつまでも余韻を持ったままゆっくりと消えていく・・
 
恐れ入った・・・
と言うか,さすがは王室。
 
こんな美味い酒を当たり前に飲んでるのか・・・(^_^;)
 
 
久々のファーストコンタクト
 
その出会いがあまりに感動的であったから,かも知れないが,
やっぱりこうやって出会いを重ねていかないと,人生はつまらない。
 
最近の酒は美味くない・・と決めつけないで,
これからも馬鹿道まっしぐら・・で突っ走るしかない
と思った夜だった(/–)/

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