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皇苑

 美味しい食事に必要なのは、

 楽しい会話と上質な料理、そして行き渡るサービス、と言っていい。

 

 今日は接待系の食事&飲み会があったが、

 細々とした日々の仕事の話を一切排除してみた。

 

 と言うのも、

 ここのところ苛つく諸々の問題は全て仕事上の事であり、

 それこそリアルに語られかねない、ある意味逃げ場の無い重さが伴うからで、

 聞かされる方にとっても面白くなければ、語るコッチはもっと面白くないからだ。

 

 

 「しかし、ランドマークで中華ってのは、初めてだよ。」

 

 「そうですか。実は私も初めてなんです。」

 

 

 地元の人間としては、中華街で食べる事を当たり前と思っているから、

 横浜ロイヤルパークホテルで中華料理を食べようという考えは

 実は今まで、一度も持った事がなかった。

 

 ホテルの中華料理は高くてそれなりだ・・・と決めつけていたが、

 今回は客のオーダーがあって、そうならざる得なかった。

 

 

 「料理はまかせるよ」

 

 「わかりました。

  中華街と同じやり方でオーダーしますね。」

 

 

 

 私の場合、中華街の店で食べる時に、

 コースでオーダーする事は、殆どない。

 

 何故なら中華街の店では、それぞれの店に目玉料理があって、

 その料理を基本に食べたい物を組み立てるのが地元民のスタイルで、

 贅沢にいくのなら、それぞれの得意料理を一品ずつ食べ歩く・・・

 というやり方が「通」と呼ばれる人の常なのだ。

 

 だから、初めてのこの店でも食べたい料理をメインに据えて、

 自分なりのコースを組み立ててオーダーするのは、

 中華街を食堂として扱ってきた地元民としては当たり前で、

 しかも腕の見せ所でも、あったりする。

 

 

 「中華へいらっしゃるのは、珍しいですね。」

 

 「初めてだよ。

  だから、ここの得意料理もよくわからないよ」

 

 

 馴染みのバーテンダーが、

 随分前にこの店へ異動していたのが幸いした。

 

 良い相談役として、テーブルについてもらう事になった。

 

 で・・・

 彼と相談して決めたメニューは以下の通り。

 

 

 前菜(三種盛り合わせ・叉焼/蒸し鶏/酢の物)

 干し貝柱とフカヒレのスープ

 北京ダック

 レタスの肉包み

 やまゆりポークの炒め物

 季節野菜の炒め物

 芝エビのチリソース煮

 甕出しの紹興酒

 プーアル茶

 

 

 普通の中華料理を求める人にも、

 本格的な中華料理を期待する人にも合う、無難なラインをオーダーしたが、

 それでも、味や量がわからない。

 

 ほんの少しだがそこら辺の調整をどう取るか・・・が気になっていたのだが、

 最初の前菜(冷盤)の叉焼を食べた瞬間に、その不安は吹っ飛んだ。

 

 

 「美味いね、これ」

 「肉が美味しいですね」

 「こんな美味しい蒸し鶏、初めてです」

 

 

 いや、驚いた。

 本当に、この前菜で選んだ品は、かなりの高レベルだったのだ。

 

 で、ここからが、驚きの連続だった。

 

 スープは塩加減が絶妙でフカヒレを美味く食べさせてくれるし、

 北京ダックは、あのカリカリの皮の部分と肉とシッカリついた厚さで切った部分を

 食べ進める事で食感が変わるように巻き上げて出してくれるし・・・

 と、フルサービスで順番も上手く組み上げて、

 タイミング良くサーブしてくれるのだ。

 

 

 これは、簡単なようで難しい。

 

 ちゃんと客の食事のスピードを見極めないとタイミングがずれるし、

 特にこのようにアラカルトでオーダーした場合は、順番組む事も

 ちょっと難しくなるので、スタッフと厨房が上手く連携をとって

 気を遣って動かないと実現しにくい。

 

 事実、横浜中華街では厨房の都合で順番も気にせずに出す所が多く、

 その為、料理のオーダーも一気にしないで様子を見ながらするのが

 実は地元民のやり方にもなっている。

 

 とにかくそれぞれの料理は、

 どれもが想像をちょっとずつ超える美味しさを見せたが、

 芝エビのチリソース煮だけは想像通りの味だった(^_^;)

 (海老好きとしては当然の事というべきか)

 

 

 2時間に渡る会食は無事楽しく進行するが、

 美味しい料理が良い方向に期待を裏切って現れるため、

 話した内容に仕事の話は殆ど現れない。

 

 次に出てくる料理が、中華街で食べた物とどう違うか・・・で

 話はどんどん盛り上がって、その分紹興酒が無くなるピッチも早くなる。

 

 そして、全員の腹具合を確認しながら、最後のオーダーとして

 ご飯物か麺物をオーダーしようとメニューを見て、またもや驚かされた。

 

 なんと・・・

 あの、ちょっと臭い干し魚(鹹魚)を使った「鹹魚鶏粒炒飯」が

 普通にメニューの載っているではないか。

 (鹹魚が珍しい食材のため、横浜中華街でも一部の店でしか扱っていない)

 

 

 「あの・・・

  ちょっとクセがある炒飯を食べませんか?」

 

 「クセって?」

 

 「香港ではよく使われている鹹魚(はむゆー)という干し魚を使っている

  炒飯なのですが、これが妙に美味しいんですよ」

 

 「食べにくい?」

 

 「匂いが独特ですが、納豆ほど個性的ではありません。

  昔、周富徳が鹹魚の代わりに塩鮭を使って作った炒飯が有名ですが・・・」

 

 

 そう、これだけ料理が美味しいと、そんな食材の話も絶妙なスパイスになる。

 そしてそのスパイスは、本当に味わいを深めてくれるワケで・・・(^_^)

 

 事実、ちょっとクセのある炒飯は好評を得て、デザートの「ゴマ団子」と

 「マンゴプリン」も話が膨らむアクセントとなった。

 

 で・・・

 ヒシヒシ感じたのは、

 「純粋に楽しむ」という時間を演出する事の大切さ。

 

 単純に料理を楽しむ・・という観点で話が楽しめた事は、

 全員の気持ちを暖かく、幸せに演出した。

 

 

 「横浜中華街では何度か食べさせて頂いてるけど、

  こんなに美味しい中華があるとは、思わなかったよ。」

 

 「いやぁ、私も初めて知りました。

  予算的にもそんなに差が無いようですし、今度は横浜で美味しい中華を・・

  と尋ねられたら、ここも選択肢の1つとして紹介しようと思います。」

 

 

 いや、宣伝をしているつもりはない。

 

 本当に、驚くほど料理もサービスもクオリティが高くて、

 私自身が「食わず嫌い」だった事を恥じる気持ちにさせられたのだ。

 

 え?

 その後??

 

 煙草を吸いたい客の所望で、

 いつもの2階で飲んだくれた・・・と、いう事で(/–)/

 

 

 横浜ロイヤルパークホテル

 68階 中国料理 皇苑

 045ー221-1155(レストラン予約)

 9:00〜21:00

コメント:2

shige 08-03-10 (月) 14:59

ちくしょー。
まだ15時だというのに腹が減ってきたぞ。
食後腹一杯の時じゃねーと某若の文章は読みたくないぜ(笑)

bowjack 08-03-11 (火) 19:06

ランドマークの中華は結構オススメだよ(^_^)

今度、会食会やるかね?>シゲ

今回は殆ど飲まなかったので、
1人当たり8000円見当の支払いになった。

コースで頼むよりは楽しい感じになったから、
4人以上集まるなら、企画するのもいいね(^_^)

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