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2009-06-06

ジャックス

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「お久しぶりです」

「お元気でしたか?」
 
 
ジャックと話をするのは久しぶりだ。
 
 
間門の店も今や歴史の重みが刻まれるほどの風格が出てきたが、
それより驚くのはジャックの元気な事。 
   
中華街で店をやってた時代となんら変わりないように見えるほどで、
初めてジャックスに訪れたのが今から20年は前の事だから、
ある意味脅威的な若さである・・・と言っていい。
  
  
「いつものにしますか?」
  
「はい、もちろん(^_^)」
  
  
そう、この店では
「ニューヨークカットステーキ」(300グラム)を2人で分けるセットを、
誰かとシェアして食べるのが私のスタンダードになっている。
  
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「相変わらずの迫力ですね」
  
「今日はちょっと肉多めに切っちゃいました。
 これで400グラムあります。」
  
  
どうりで、でかい(^_^;
  
  
若い頃は、「スモールサーロイン」(150グラム)を、よく食べていた。
  
理由はそのコストで、
どう見ても表示されている以上に大きく見えるステーキが、2500円だったのだ。
  
羽振りが良い時は「シザリングステーキ」(230グラム・4500円)を食べたが、
ボリュームに圧倒されつつもコストパフォーマンスが良いと感じていたし、
そんな若僧の頃はそれで充分に贅沢で幸せだ・・・と思っていた。
  
  
「できる事ならニューヨークカットを食べて欲しい。
 コストの問題もあって、ニューヨークカットに使う肉と
 スモールサーロインに使う肉、シザリングステーキに使う肉は全て違うから、
 一番美味しいニューヨークカットを1度は・・と思うんですよ」
  
   
と、ある時「ニューヨークカットステーキ」を勧められて食べた時は、衝撃的だった。
  
とにかく、こんなに味が違うの?・・と思うほど何もかもが違うし、
2度と他のステーキは食べられない・・と感じるほど、美味かったのだ。
  
以来、誰かを「デブの道」への道連れにして、
このステーキばかり食べてきた。
  
  
形が悪くても美味しいサーロインの端っこの肉や、

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凄く美味しい脂身、そして今日のように多めに切っちゃう日もあって、

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とにかく毎回、今日はどんなステーキだろう・・と思ってしまう。
 
 
ただ今日は、
ちょっとばかりジャックに元気が無かった。
  
それを気にかけて声をかけると、
懇意にしている客を送ってきて疲れた・・
と彼は説明する。
  
  
「ここのところ不景気で、お客様がいらっしゃらなくて・・・」
 
 
昭和時代の憧れの料理「ビフテキ」を今に伝えている貴重な店でありながら、
店で出会う他の客にあまり若者の姿は無いから、
常連と言える客は当時からの客が多いのでは?・・と思えば、
高齢化した常連には彼のパワフルな料理は手強い事もあるだろう。
  
そんな事を考えながらも、自分はやっぱりここのステーキが好きだから、
いつまでも食べられるように健康でいたい・・と思っている。
  
  
ただ、ジャックも既に80歳を超えている。
  
あと20年、このステーキが食べられたら、それはもう奇跡でしかなく、
だからこそ今、間門まで足を運ぶ価値がある・・と思っている。
   
  
「ご馳走様でした。
 また来ます。」
  
「ありがとうございます。」
  
  
最後に待っていたのは、
いつもと変わらない、素敵なジャックの笑顔だった。
    
  
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「ジャックス」
 045-621-4379
 横浜市中区本牧間門43-14
 17:00~23:00(LO 22:30)
 月曜休

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